世紀末の隣人

2005年5月11日 読書
重松氏の作品は同世代としてほろりとさせられるのですが、
この作品はちょっと趣きが違います。

池袋の通り魔事件、音羽の幼女殺人事件、新潟の少女監禁、
和歌山のカレー事件、日産の大リストラなどなど……。
世紀末を震撼させた事件の数々を独自の視点でレポートしています。

時代の病巣に切り込んでいることも確かなのですが、
報道を鵜呑みにさせられてしまうメディアのあり方にも
一石を投じている作品だと思います。

例えば重松氏は音羽の幼女殺人事件の山田みつ子被告について
文中でこんな風に語っています――。

≪差異と選別の時代に「ダサい」埼玉で、地味な県立短大に
 通っていたみつ子は、知っていたはずだ。
 田舎者を見る都会暮らしの人たちの眼差しの冷ややかさと、
 「あなたって暗いわね」というレッテルを貼られてしまうことの怖さを。≫
 ―「ともだちが欲しかったママ」より―

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