5月3日、群馬県東吾妻町、岩櫃城跡――
溢れる緑の中、84歳の父親と2人、その地に足を運び、
真田氏上州の拠点で歴史に思いを馳せていた。
標高802mの岩櫃山山頂まではあと1km。
その案内板を見た父が呟いた。
「山頂まで行ってみるか」
しばし思いを巡らし、僕は言った。
「今日のところはやめとこうよ」
登ろうと思えば登れぬ距離ではない。
チャレンジ精神が旺盛な父からすれば、
格別と言われる山頂の眺めが見たくなっても不思議ではない。
「そうだな……また今度にするか」
「山頂は来年の5月、登りに来ようよ」
「そうだな」
健脚と言えども、山を歩ける人としての父に、
そんなに時間はないだろう。
この場に僕の子供たちがいれば、
また、違った答えが出ていたのかもしれない。
溢れる緑の中、84歳の父親と2人、その地に足を運び、
真田氏上州の拠点で歴史に思いを馳せていた。
標高802mの岩櫃山山頂まではあと1km。
その案内板を見た父が呟いた。
「山頂まで行ってみるか」
しばし思いを巡らし、僕は言った。
「今日のところはやめとこうよ」
登ろうと思えば登れぬ距離ではない。
チャレンジ精神が旺盛な父からすれば、
格別と言われる山頂の眺めが見たくなっても不思議ではない。
「そうだな……また今度にするか」
「山頂は来年の5月、登りに来ようよ」
「そうだな」
健脚と言えども、山を歩ける人としての父に、
そんなに時間はないだろう。
この場に僕の子供たちがいれば、
また、違った答えが出ていたのかもしれない。
浜松で娘のクライミングの大会があり、応援を兼ねて一泊二日の旅に出た。
午前4時出発、東名を程よく飛ばして、浜松のクライミングジムへと向かう。会場は長閑な住宅街にある「Vrai Ciel」という名のジム。小さな大会ではあるが、会場はクライマーたちの熱気に溢れていた。
「気持ちの入ったクライミングを見るのは気持ちがいいね」
同行の次男が妹の奮闘ぶりを褒めていた。受験前、最後の大会になるだろうこの日、娘はどんな思いで過ごしたのだろう。親としても久しぶり娘の姿は少し眩しく見えた。
その夜、娘リサーチのハンバーグ店で、家族4人の打ち上げ。地元ではメジャーなチェーン店はハンバーグ好きで溢れていた。ちなみに店名は「さわやか」。素材を生かしたシンプルな味に、納得のひと時だった。
ホテルに戻って次男を相手に二次会、ほろ酔いを少し越えた心地良い夜だった。
翌朝は時折の小雨が暑さを和らげてくれていた。
まずは近くの浜松城、月曜日の午前中でも夏休みとあって、家族連れが多い。徳川家康ゆかりの城は蝉しぐれの中に佇んでいる。
若き日の家康公の銅像の前で、我慢強さのご相伴に与ろうとワンショット。
ここまで来たのだからと、次の目的地は浜名湖。車で30分ほどの行程だが、知らない土地を走るのは心地良い。
「おぅー」
しばらくすると目の前に浜名湖、海に匹敵する大きさに次男が喚声を上げた。車を止め、妻リクエストの舘山寺のロープウェイを目指す。眼下に広がる浜名湖を眺めながらの上り、吸い込まれるような怖さもあるが、湖を渡る気分を満喫した。
そして、展望台、浜松が一望できる風景。素直に来て良かったとささやかに喜んだ。
隣にはパルパルという遊園地があり、家族連れで溢れていた。絶叫系の乗り物好きの妻と娘の狙っていたジェットコースターは強くなった雨のために運行中止。忘れ物をした気分に後ろ髪をひかれつつも、最後は名物を食べに向かう。
地元の鰻はやっぱり美味かった。
締めの贅沢は、翌日からの節約生活が確約されているが、せっかくの浜松、外すわけにはいかない。
妻の友人お勧めの「芳松」。質素ながら落ち着いた作りの店内、滅多に味わえない地元の味は、忘れられない思い出になった。
ありがとう浜松、ありがとう……
午前4時出発、東名を程よく飛ばして、浜松のクライミングジムへと向かう。会場は長閑な住宅街にある「Vrai Ciel」という名のジム。小さな大会ではあるが、会場はクライマーたちの熱気に溢れていた。
「気持ちの入ったクライミングを見るのは気持ちがいいね」
同行の次男が妹の奮闘ぶりを褒めていた。受験前、最後の大会になるだろうこの日、娘はどんな思いで過ごしたのだろう。親としても久しぶり娘の姿は少し眩しく見えた。
その夜、娘リサーチのハンバーグ店で、家族4人の打ち上げ。地元ではメジャーなチェーン店はハンバーグ好きで溢れていた。ちなみに店名は「さわやか」。素材を生かしたシンプルな味に、納得のひと時だった。
ホテルに戻って次男を相手に二次会、ほろ酔いを少し越えた心地良い夜だった。
翌朝は時折の小雨が暑さを和らげてくれていた。
まずは近くの浜松城、月曜日の午前中でも夏休みとあって、家族連れが多い。徳川家康ゆかりの城は蝉しぐれの中に佇んでいる。
若き日の家康公の銅像の前で、我慢強さのご相伴に与ろうとワンショット。
ここまで来たのだからと、次の目的地は浜名湖。車で30分ほどの行程だが、知らない土地を走るのは心地良い。
「おぅー」
しばらくすると目の前に浜名湖、海に匹敵する大きさに次男が喚声を上げた。車を止め、妻リクエストの舘山寺のロープウェイを目指す。眼下に広がる浜名湖を眺めながらの上り、吸い込まれるような怖さもあるが、湖を渡る気分を満喫した。
そして、展望台、浜松が一望できる風景。素直に来て良かったとささやかに喜んだ。
隣にはパルパルという遊園地があり、家族連れで溢れていた。絶叫系の乗り物好きの妻と娘の狙っていたジェットコースターは強くなった雨のために運行中止。忘れ物をした気分に後ろ髪をひかれつつも、最後は名物を食べに向かう。
地元の鰻はやっぱり美味かった。
締めの贅沢は、翌日からの節約生活が確約されているが、せっかくの浜松、外すわけにはいかない。
妻の友人お勧めの「芳松」。質素ながら落ち着いた作りの店内、滅多に味わえない地元の味は、忘れられない思い出になった。
ありがとう浜松、ありがとう……
上州ひとり旅・草津の湯
2013年5月15日 旅行 コメント (2)5月3日の草津はさすがに混んでいた。
軽トラックは大通りを外れ、
細い静かな道へとは入っていった。
「ここに無料の温泉があるんだ」
父親に連れられて来た場所は、
ほとんど地元の住民しか利用しないという、
少し小ぶりな温泉小屋だった。
4畳半ほどの脱衣所があり、湯船は10畳ほどだろうか。
1人だけ湯船につかる男性がいるだけで、
草津の街の喧騒は嘘のようだ。
「背中、流してくれよ」
何年振りだろう……
いや父親の背中を流した記憶すら僕にはない。
80を過ぎても父親の背中は厚く大きかった。
初めての草津の湯――
熱い湯ということは聞いていたが、
それにしても熱い。
腰から下は浸かることはできても、
どうにもこうにも上半身を入れられない。
「ここより熱い湯もたくさんありますよ」
先客の男性が気持ち良さそうな顔をしている。
父親も頬を赤らめながらも肩までしっかりと浸かっている。
意を決して、胸まで沈める。
熱くて微動だにできない。
それでも、折角だからとじっと我慢すること数分。
これが草津の湯か……
僕はあっけなく湯船から飛び出した。
草津の湯は想像以上に強敵だった。
【つづく】
軽トラックは大通りを外れ、
細い静かな道へとは入っていった。
「ここに無料の温泉があるんだ」
父親に連れられて来た場所は、
ほとんど地元の住民しか利用しないという、
少し小ぶりな温泉小屋だった。
4畳半ほどの脱衣所があり、湯船は10畳ほどだろうか。
1人だけ湯船につかる男性がいるだけで、
草津の街の喧騒は嘘のようだ。
「背中、流してくれよ」
何年振りだろう……
いや父親の背中を流した記憶すら僕にはない。
80を過ぎても父親の背中は厚く大きかった。
初めての草津の湯――
熱い湯ということは聞いていたが、
それにしても熱い。
腰から下は浸かることはできても、
どうにもこうにも上半身を入れられない。
「ここより熱い湯もたくさんありますよ」
先客の男性が気持ち良さそうな顔をしている。
父親も頬を赤らめながらも肩までしっかりと浸かっている。
意を決して、胸まで沈める。
熱くて微動だにできない。
それでも、折角だからとじっと我慢すること数分。
これが草津の湯か……
僕はあっけなく湯船から飛び出した。
草津の湯は想像以上に強敵だった。
【つづく】
上州ひとり旅・群馬の朝
2013年5月6日 旅行 コメント (2)翌朝、目が覚めると父は既に起き、
馴れた手つきで朝食を準備していた。
ご飯に焼き鮭、菜っ葉、奈良漬、野菜の味噌汁。
「菜っ葉は今朝採ったのだから美味いぞ」
横浜に同居している頃は炊事は母親任せだったが、
群馬で暮らすようになり、
家事全般を手際よくこなすようになった。
「飯の前に墓参りに行ってくるよ」
家の隣には先祖の墓がある。
畑に囲まれた墓地からはくっきりと赤城山が見えた。
ここには無駄な音や色彩はほとんどない。
祖父母の顔を思い出し、ただ手を合わせた。
部屋に戻り、父と朝食を共にする。
「草津に行ってみるか」
父が草津にオープンした日帰り温泉の記事を見せてくれた。
「そこは混んでいるだろうけど、御巣鷹より近いから」
父と2人のドライブなんて何年振りだろう。
天気も良好、草津の湯に身を委ねるのも悪くはない。
「途中、八ッ場ダムも見ていこう」
この日は上州男ふたり旅ということになった。
【つづく】
馴れた手つきで朝食を準備していた。
ご飯に焼き鮭、菜っ葉、奈良漬、野菜の味噌汁。
「菜っ葉は今朝採ったのだから美味いぞ」
横浜に同居している頃は炊事は母親任せだったが、
群馬で暮らすようになり、
家事全般を手際よくこなすようになった。
「飯の前に墓参りに行ってくるよ」
家の隣には先祖の墓がある。
畑に囲まれた墓地からはくっきりと赤城山が見えた。
ここには無駄な音や色彩はほとんどない。
祖父母の顔を思い出し、ただ手を合わせた。
部屋に戻り、父と朝食を共にする。
「草津に行ってみるか」
父が草津にオープンした日帰り温泉の記事を見せてくれた。
「そこは混んでいるだろうけど、御巣鷹より近いから」
父と2人のドライブなんて何年振りだろう。
天気も良好、草津の湯に身を委ねるのも悪くはない。
「途中、八ッ場ダムも見ていこう」
この日は上州男ふたり旅ということになった。
【つづく】
5月3日、午前1時20分――
群馬は静まり返った星空だった。
少々の渋滞をしのぎ、父の住む群馬へと続く道に、
今回、家族はひとりもいなかった。
理由はたわいもない。
子供たちはいつの間にか成長し、
連休はそれぞれに予定があった。
真っ暗の中、車のドアを開け、
しばらく星空に身を委ねた。
父も家からは出てこない。
いつも思う。
群馬に来ると時はゆっくりと過ぎていく。
【つづく】
群馬は静まり返った星空だった。
少々の渋滞をしのぎ、父の住む群馬へと続く道に、
今回、家族はひとりもいなかった。
理由はたわいもない。
子供たちはいつの間にか成長し、
連休はそれぞれに予定があった。
真っ暗の中、車のドアを開け、
しばらく星空に身を委ねた。
父も家からは出てこない。
いつも思う。
群馬に来ると時はゆっくりと過ぎていく。
【つづく】
久し振りの次男の高校サッカーの応援の帰り、
思い立ってカミサンと鎌倉に立ち寄ってみた。
「海に行ってみるか」
鎌倉の駅から歩くこと約10分、
由比ヶ浜の風は少し強かったが、
暖かい陽射しを浴びて心地良かった。
「何か叫んでみたくなるな」
つい最近も鎌倉を舞台にしたドラマはあったが、
昔の青春ドラマは海で叫ぶことは定番だった。
「でも、やっぱり叫んでみたくなるな」
叫びたいことはたくさんある。
でも、その思いは今は胸にしまい、
しばらく海の時間に浸っていた。
思い立ってカミサンと鎌倉に立ち寄ってみた。
「海に行ってみるか」
鎌倉の駅から歩くこと約10分、
由比ヶ浜の風は少し強かったが、
暖かい陽射しを浴びて心地良かった。
「何か叫んでみたくなるな」
つい最近も鎌倉を舞台にしたドラマはあったが、
昔の青春ドラマは海で叫ぶことは定番だった。
「でも、やっぱり叫んでみたくなるな」
叫びたいことはたくさんある。
でも、その思いは今は胸にしまい、
しばらく海の時間に浸っていた。
ヨコハマトリエンナーレ2011――
柄にもなく、横浜でのアートの祭典を覗きに行く。
難解な創作物が横浜美術館と日本郵船海岸通倉庫に、
これでもかと展示されていた。
もともと芸術には疎いというのに、
無謀な挑戦だったのかも知れないが、
何かが感じられればと足を運んでみた。
感性が磨かれたか、
磨かれなかったはともかくとして、
意外に面白かったことは確かだった。
柄にもなく、横浜でのアートの祭典を覗きに行く。
難解な創作物が横浜美術館と日本郵船海岸通倉庫に、
これでもかと展示されていた。
もともと芸術には疎いというのに、
無謀な挑戦だったのかも知れないが、
何かが感じられればと足を運んでみた。
感性が磨かれたか、
磨かれなかったはともかくとして、
意外に面白かったことは確かだった。
何年振りだろうか、
行きたい行きたいと思いつつ、
いつのまにか時が過ぎていた。
久し振りの夫婦での鎌倉――
まずは定番の八幡宮でお参りをし、
昨年、折れてしまった銀杏の大木を眺め、
娘と息子に御守りを買う。
暑い休日の人の多さに、鎌倉の人気を改めて知る。
紫いものソフトクリームを頬張り、
今度は江ノ電で「鎌倉高校前」を目指す。
特に目的はない、ただなんとなくだ。
ホームからは湘南の海が見え、波の音が心地良く響く。
放課後、部活のあとに見る夕暮れの海、はたまた漆黒の海……
高校生たちが羨ましいと思いつつ、次の目的地を目指す。
江ノ電ならではの狭い線路脇はそれだけで面白い。
地元の人々はきっと湘南の海と共に暮らし、
江ノ電と共に暮らしているのだろう。
あっという間に江ノ島に着き、
妻のリクエストのしらすの丼と定食を食す。
生しらすの透き通る白と釜揚げの濃い白が眩しく美味しい。
帰りはモノレールで大船に出ることにした。
これまた山間を猛スピードで走りぬけ、
住宅街を疾走する車両がスリリングで思いの外楽しかった。
ぶらりと目的を決めずに気分で訪れた鎌倉――
家から1時間と少し、生きることの潤いは身近なところに
たくさんあるのかもしれない。
行きたい行きたいと思いつつ、
いつのまにか時が過ぎていた。
久し振りの夫婦での鎌倉――
まずは定番の八幡宮でお参りをし、
昨年、折れてしまった銀杏の大木を眺め、
娘と息子に御守りを買う。
暑い休日の人の多さに、鎌倉の人気を改めて知る。
紫いものソフトクリームを頬張り、
今度は江ノ電で「鎌倉高校前」を目指す。
特に目的はない、ただなんとなくだ。
ホームからは湘南の海が見え、波の音が心地良く響く。
放課後、部活のあとに見る夕暮れの海、はたまた漆黒の海……
高校生たちが羨ましいと思いつつ、次の目的地を目指す。
江ノ電ならではの狭い線路脇はそれだけで面白い。
地元の人々はきっと湘南の海と共に暮らし、
江ノ電と共に暮らしているのだろう。
あっという間に江ノ島に着き、
妻のリクエストのしらすの丼と定食を食す。
生しらすの透き通る白と釜揚げの濃い白が眩しく美味しい。
帰りはモノレールで大船に出ることにした。
これまた山間を猛スピードで走りぬけ、
住宅街を疾走する車両がスリリングで思いの外楽しかった。
ぶらりと目的を決めずに気分で訪れた鎌倉――
家から1時間と少し、生きることの潤いは身近なところに
たくさんあるのかもしれない。
昨年に続き今年もお盆休みは富山に行った。
横浜から約470km――
長距離に慣れていない僕らには長く遠い道のりだ。
恒例の富山でのクライミングのコンペ。
望んで挑む大きな大会に娘と妻と3人で旅立った。
夜遅い関越、真夜中の上信越、明け方の北陸道。
妻と交代しながらの真夜中の運転は、
風景を楽しむことはほとんどできない。
それでも普段、語り合えなかったことも話すことができた。
知らなかったこと、知らなかった自分。
子供へ、妻へ、
足りなかった自分を改めて知ることもできた。
横浜から約470km――
長距離に慣れていない僕らには長く遠い道のりだ。
恒例の富山でのクライミングのコンペ。
望んで挑む大きな大会に娘と妻と3人で旅立った。
夜遅い関越、真夜中の上信越、明け方の北陸道。
妻と交代しながらの真夜中の運転は、
風景を楽しむことはほとんどできない。
それでも普段、語り合えなかったことも話すことができた。
知らなかったこと、知らなかった自分。
子供へ、妻へ、
足りなかった自分を改めて知ることもできた。
USJで大いに笑いあい、
夜はたこ焼きを腹いっぱい食べ、
ホテルに帰ってビールとジュースで乾杯した。
家族での13年ぶりの大阪旅行――
前回、娘は妻のお腹の中にいて、
息子たちの記憶にも残っていなかった。
ホテルでの朝、お湯を沸かし、
大阪の海を眺めながらコーヒーを啜る。
部屋にはまだ起きぬ息子二人。
ありきたりの子育てを振り返ってもみた。
2日目は大阪観光、名所を電車と足で歩き回った。
環状線に揺られながら心地良く響く本物の「なんでやねん」
駅から掘りを越え、まずは大阪城を目指す。
途中、若い女性3人組に写真を頼まれる。
お城に扇か――
そのポーズにみんなで思わす笑みがこぼれた。
大阪城に辿り着き、興味津々の娘。
近代的な城内にちょっとがっかりの次男。
淡々と見つめる長男。
天守閣から大阪の街を眺める。
曇り空からぱらつく雨もまたいいものだ。
その足で前回は寄れなかった通天閣へ行き、
僕はビリケンさんのストラップを買った。
またひとつクルマのキーホルダーに思い出が増えた。
そのまま道頓堀へと足を伸ばし、
ごった返す人波にもまれる。
娘のリクエストのお好み焼きを頬張りながら、
大阪での1泊2日を噛み締めた。
「もうしばらくないかもね」
「そうだな」
春、静岡へと旅立つ長男、
しばらくはサッカー三昧になるだろう次男、
そして中学2年になる娘。
帰りの新幹線、通路越しに妻と話しながら、
旅の思い出にどっぷりと浸っていた。
夜はたこ焼きを腹いっぱい食べ、
ホテルに帰ってビールとジュースで乾杯した。
家族での13年ぶりの大阪旅行――
前回、娘は妻のお腹の中にいて、
息子たちの記憶にも残っていなかった。
ホテルでの朝、お湯を沸かし、
大阪の海を眺めながらコーヒーを啜る。
部屋にはまだ起きぬ息子二人。
ありきたりの子育てを振り返ってもみた。
2日目は大阪観光、名所を電車と足で歩き回った。
環状線に揺られながら心地良く響く本物の「なんでやねん」
駅から掘りを越え、まずは大阪城を目指す。
途中、若い女性3人組に写真を頼まれる。
お城に扇か――
そのポーズにみんなで思わす笑みがこぼれた。
大阪城に辿り着き、興味津々の娘。
近代的な城内にちょっとがっかりの次男。
淡々と見つめる長男。
天守閣から大阪の街を眺める。
曇り空からぱらつく雨もまたいいものだ。
その足で前回は寄れなかった通天閣へ行き、
僕はビリケンさんのストラップを買った。
またひとつクルマのキーホルダーに思い出が増えた。
そのまま道頓堀へと足を伸ばし、
ごった返す人波にもまれる。
娘のリクエストのお好み焼きを頬張りながら、
大阪での1泊2日を噛み締めた。
「もうしばらくないかもね」
「そうだな」
春、静岡へと旅立つ長男、
しばらくはサッカー三昧になるだろう次男、
そして中学2年になる娘。
帰りの新幹線、通路越しに妻と話しながら、
旅の思い出にどっぷりと浸っていた。
子供たちがそれぞれに予定があり、
久しぶりに妻と2人、映画を見に行こうということに。
ところが目的の映画は残念ながら満席完売。
「じゃ、東京タワーに」といったもの、
「みなとみらいに行こうか」という妻に意見に従うことに。
「この写真、ちょっとイタリアチックだろ」
「なんでお父さん格好つけているの」と娘。
「バスがね」と次男。
写真は兎も角、横浜に住んでいながら、
まだまだ知らないことが多い、ハマっ子もどきでした。
久しぶりに妻と2人、映画を見に行こうということに。
ところが目的の映画は残念ながら満席完売。
「じゃ、東京タワーに」といったもの、
「みなとみらいに行こうか」という妻に意見に従うことに。
「この写真、ちょっとイタリアチックだろ」
「なんでお父さん格好つけているの」と娘。
「バスがね」と次男。
写真は兎も角、横浜に住んでいながら、
まだまだ知らないことが多い、ハマっ子もどきでした。
父親と次男と僕、山に囲まれた山奥の温泉に浸る。
夏の陽射しは眩しいが、涼しい空気が心地良い。
部活で来られなかった長男のことをふと思い出す。
根古屋城温泉――多分、知る人ぞ知る温泉だと思う。
癒しの時間が流れる中、父親や家族とただのんびりと話す。
温泉の帰り道、父親の握るハンドルの横、
ラジオから戦没者追悼の様子が流れて来た。
終戦記念日、その日父親にどうしていたのかを初めて聞く。
車の後ろでは妻や次男が耳をそばだてている。
「人間はいつまでも頭が悪いな」と父親がポツリという。
昼食を済ませ、父親の家に着く。
父親は昼寝、妻と娘はテレビでオリンピック。
僕は次男と近くの運動公園にサッカーとキャッチボールをやりに行く。
子どもが小さい頃から群馬に来ればここで遊んでいたが、
自分の衰えと子どもの成長を改めて実感した。
汗びっしょりの体のまま、草の上に大の字なって寝る。
重い体に草が刺さるが、それが気持ち良くもある。
赤城山が見える。夕立がありそうだ。
「さぁ」と重い腰を上げた。
※根古屋城温泉
http://spa.s5.xrea.com/broom/gunma/nekoyaf.htm
夏の陽射しは眩しいが、涼しい空気が心地良い。
部活で来られなかった長男のことをふと思い出す。
根古屋城温泉――多分、知る人ぞ知る温泉だと思う。
癒しの時間が流れる中、父親や家族とただのんびりと話す。
温泉の帰り道、父親の握るハンドルの横、
ラジオから戦没者追悼の様子が流れて来た。
終戦記念日、その日父親にどうしていたのかを初めて聞く。
車の後ろでは妻や次男が耳をそばだてている。
「人間はいつまでも頭が悪いな」と父親がポツリという。
昼食を済ませ、父親の家に着く。
父親は昼寝、妻と娘はテレビでオリンピック。
僕は次男と近くの運動公園にサッカーとキャッチボールをやりに行く。
子どもが小さい頃から群馬に来ればここで遊んでいたが、
自分の衰えと子どもの成長を改めて実感した。
汗びっしょりの体のまま、草の上に大の字なって寝る。
重い体に草が刺さるが、それが気持ち良くもある。
赤城山が見える。夕立がありそうだ。
「さぁ」と重い腰を上げた。
※根古屋城温泉
http://spa.s5.xrea.com/broom/gunma/nekoyaf.htm
「ユイと2人で行くから」
「そうか……明日の夜だよな」
昨晩の父親への電話。
ちょっと淋しそうな、ホッとしたような声。
昔は家族全員で群馬に行っていましたが、
今回の連休は長男、次男ともにサッカーの試合なので、
カミサンも家に残ります。
今年は無理かなっと思っていた群馬行きでしたが、
ユイがその気になってくれたので、
僕と娘、今晩は2人で小さな旅への出発です。
「そうか……明日の夜だよな」
昨晩の父親への電話。
ちょっと淋しそうな、ホッとしたような声。
昔は家族全員で群馬に行っていましたが、
今回の連休は長男、次男ともにサッカーの試合なので、
カミサンも家に残ります。
今年は無理かなっと思っていた群馬行きでしたが、
ユイがその気になってくれたので、
僕と娘、今晩は2人で小さな旅への出発です。
鶴見線ぶらり旅・最終回
2006年2月22日 旅行ぶらりと歩いていれば駄菓子屋の一軒ぐらいはと思っていたのですが、
さすがに今の時代、コンビニはたくさんあっても駄菓子屋は……(笑)。
仕方なく奥の手を使うことにしました。
京浜東北線に乗り換えて、ひとつ先の川崎へと向かいます。
以前、川崎の駅ビルの一角にあった駄菓子屋を思い出しました。
http://www.ekipara.com/html/Indication/ShopHtml/K2010R01_289.html
店にはオバちゃんもハナタレ小僧も勿論いません。
今風にアレンジされた駄菓子屋は定員さんも若いオネエさんだし、
お客さんたちもほとんどが若い女の子です。
そこで買ったものはというと――
僕が黒糖のふ菓子(サクッとうまい)に、味噌カツ風の乾物。
カミサンが小さなヨーグルトみたいなクリームみたいな菓子とチロルチョコ。
それにユイが水あめ、ケンがなぜかおはじき(今、羽生家でプチブーム)。
目的を成し終えた僕は「帰りは家まで歩いて行くぞ」と一言。
疲れ果てた面々にその提案は通りませんでした。
さすがに今の時代、コンビニはたくさんあっても駄菓子屋は……(笑)。
仕方なく奥の手を使うことにしました。
京浜東北線に乗り換えて、ひとつ先の川崎へと向かいます。
以前、川崎の駅ビルの一角にあった駄菓子屋を思い出しました。
http://www.ekipara.com/html/Indication/ShopHtml/K2010R01_289.html
店にはオバちゃんもハナタレ小僧も勿論いません。
今風にアレンジされた駄菓子屋は定員さんも若いオネエさんだし、
お客さんたちもほとんどが若い女の子です。
そこで買ったものはというと――
僕が黒糖のふ菓子(サクッとうまい)に、味噌カツ風の乾物。
カミサンが小さなヨーグルトみたいなクリームみたいな菓子とチロルチョコ。
それにユイが水あめ、ケンがなぜかおはじき(今、羽生家でプチブーム)。
目的を成し終えた僕は「帰りは家まで歩いて行くぞ」と一言。
疲れ果てた面々にその提案は通りませんでした。
一汗かいた僕ら家族は今度は仲通商店街を目指します。
20分ほど歩くと目標の仲通商店街、このあたりは沖縄の出身の方も多く、
沖縄チックな店も何軒かあります。
http://www.kariyushi.net/tsurumi/index.htm
まず目に入った沖縄物産センターに侵入、
子供とカミサンはブルーシールのアイスクリーム、
僕はサーターアンダギーを早速パクつきます。
夕食にしようと沖縄そばを買い、おやつにチンスコーをゲットしました。
「次はコロッケね」というカミサンの言葉に肉屋さんを探すも
結局見つからず、コロッケを食べながらの散歩は断念。
さらに20分歩いて鶴見駅に到着しました。
旅は最終目的地の駄菓子屋へと向かいます。
20分ほど歩くと目標の仲通商店街、このあたりは沖縄の出身の方も多く、
沖縄チックな店も何軒かあります。
http://www.kariyushi.net/tsurumi/index.htm
まず目に入った沖縄物産センターに侵入、
子供とカミサンはブルーシールのアイスクリーム、
僕はサーターアンダギーを早速パクつきます。
夕食にしようと沖縄そばを買い、おやつにチンスコーをゲットしました。
「次はコロッケね」というカミサンの言葉に肉屋さんを探すも
結局見つからず、コロッケを食べながらの散歩は断念。
さらに20分歩いて鶴見駅に到着しました。
旅は最終目的地の駄菓子屋へと向かいます。
「もう少しで貸切だったな」
扇町から鶴見に折り返す電車の中には僕らの他には2人だけ。
贅沢な鶴見線の旅は、降りる駅探しから再スタートです。
「じゃ、浅野にするか」
ということで、入船公園のある浅野駅で下車することになりました。
やはり無人の浅野駅では僕ら以外は誰もおりません。
電車が去った後のホームはシーンとやはり異空間のように静か。
セピアかがった雰囲気は子供の頃を思い出します。
「切符出してかなくていいの?」
「記念にもらっていくよ」
扇町からの130円の切符は今でも僕の財布の中です。
駅のすぐとなりにある入船公園は、様々なスポーツ施設あり、
芝生の広場ありの区民の憩いの場所。
駅を降り、公園に着いた僕らはやっとたくさんの人たちとご対面です。
アスレチックで童心に帰ってはしゃぎながらのんびりと過ごすひと時――。
休日の楽しみ方はお金をかけるばかりじゃないなと改めて思いました。
さて、この後はどうするか。そろそろお腹も空いてきました。
扇町から鶴見に折り返す電車の中には僕らの他には2人だけ。
贅沢な鶴見線の旅は、降りる駅探しから再スタートです。
「じゃ、浅野にするか」
ということで、入船公園のある浅野駅で下車することになりました。
やはり無人の浅野駅では僕ら以外は誰もおりません。
電車が去った後のホームはシーンとやはり異空間のように静か。
セピアかがった雰囲気は子供の頃を思い出します。
「切符出してかなくていいの?」
「記念にもらっていくよ」
扇町からの130円の切符は今でも僕の財布の中です。
駅のすぐとなりにある入船公園は、様々なスポーツ施設あり、
芝生の広場ありの区民の憩いの場所。
駅を降り、公園に着いた僕らはやっとたくさんの人たちとご対面です。
アスレチックで童心に帰ってはしゃぎながらのんびりと過ごすひと時――。
休日の楽しみ方はお金をかけるばかりじゃないなと改めて思いました。
さて、この後はどうするか。そろそろお腹も空いてきました。
寒さがほころび始めた日曜――。
「今日は鶴見食べ歩きの旅に行くぞ」ということで、
カミサンと次男と娘、4人で行き当たりばったりの散策に行きました。
まずは鶴見駅まで歩いて、普段はまず乗らない鶴見線に乗車。
日常は通勤や通学で使われているこの電車も日曜はガラガラ。
のんびりジュースを飲みながら電車に揺られました。
電車はいつのまにか住宅街から工業地帯へと走ります。
終点の扇町は工場以外、ほとんど何にもないところです。
それでも折角着たからと、無人の駅を降りて、
駅周辺を覗くと、確かに何もないし、人もいない。
休日の工業地帯は静かでのんびりとのどかです。
10分待って、折り返しの電車に乗車、降りる駅も決めないまま、
鶴見線ぶらり旅は続きます。
「今日は鶴見食べ歩きの旅に行くぞ」ということで、
カミサンと次男と娘、4人で行き当たりばったりの散策に行きました。
まずは鶴見駅まで歩いて、普段はまず乗らない鶴見線に乗車。
日常は通勤や通学で使われているこの電車も日曜はガラガラ。
のんびりジュースを飲みながら電車に揺られました。
電車はいつのまにか住宅街から工業地帯へと走ります。
終点の扇町は工場以外、ほとんど何にもないところです。
それでも折角着たからと、無人の駅を降りて、
駅周辺を覗くと、確かに何もないし、人もいない。
休日の工業地帯は静かでのんびりとのどかです。
10分待って、折り返しの電車に乗車、降りる駅も決めないまま、
鶴見線ぶらり旅は続きます。
群馬に行ってきました
2004年5月4日 旅行連休はいつも父親のいる群馬に行っています。
今回も2日の夜に旅立ち、そして今日帰ってきました。
富弘美術館で自分を見つめ、温泉で疲れを癒し、
足尾銅山の観光で社会の歪みを改めて見つめてきました。
深緑の群馬はいつもながら自然がいっぱいです。
今日の午前中は父親の家の近くにある芝生の公園で、
長男、次男とサッカーで楽しみ、そして娘とバドミントンをしました。
帰り際、見送り続ける父親に少し後ろ髪を引かれました。
今回も2日の夜に旅立ち、そして今日帰ってきました。
富弘美術館で自分を見つめ、温泉で疲れを癒し、
足尾銅山の観光で社会の歪みを改めて見つめてきました。
深緑の群馬はいつもながら自然がいっぱいです。
今日の午前中は父親の家の近くにある芝生の公園で、
長男、次男とサッカーで楽しみ、そして娘とバドミントンをしました。
帰り際、見送り続ける父親に少し後ろ髪を引かれました。
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