「サッカー、行くか」
「うん、行く」
練習が休みだった次男を久しぶりにサッカーに誘った。
「あれっ、どっか行くの」
早めの部活を終えて帰っていた長男のリョウが声を掛けてきた。
「ケンも行くから、久しぶりに2対1でもやるか」
「……明日、休みだから行こうかな」
3人でのサッカーは夏以来だった。
いつもの公園のいつもの場所――。
夜、たったひとつの街灯が、僕たちを照らし、
マーカーコーンで区切った小さなフィールドで
ただひたすらボールを追う。
運動不足の僕は息を荒げ、すぐに汗びっしょりにさせられる。
「おれ、ちょっと休むから……」
休憩中の父親を尻目に長男と次男の1対1が始まった。
鋭く走る高校1年のリョウに中学1年のケンが必死に喰らいつき、
2人のスパイクの音だけがザッザッと響く。
兄弟でやりあい、弟が兄に何度も倒され、とうとう口喧嘩になった。
なかなか終わらぬ兄弟喧嘩に「いい加減にしろ」と僕が怒鳴ると、
リョウとケンはそれぞれ離れて練習をやり始めた。
「1対1やるぞ」
ケンだけに声をかける。
全力を尽くせ――と自分に言い聞かせての挑戦だったが、
ケンにとって、体力の衰えた父親はもう眼中にはない。
兄への対抗心と兄への憧憬が、ボールの向こうからはっきりと分かる。
「先に風呂入ってろ」とケンを先に帰らせた。
入れ違いにトレーニングを終えたリョウが着替えにきた。
「ケンも、わかっているから……」
「あいつから言ってきたんだぜ」
そう言いながらも、リョウはどうやら落ち着いていた。
「最近、調子良くなってきたから、またスタメンとるから」
「そうか、頑張れよ」
帰り際、「乗ってく?」と自転車の方を見てリョウが僕に気を遣う。
小さな広場に雨がしとしとと降り始めた。
「うん、行く」
練習が休みだった次男を久しぶりにサッカーに誘った。
「あれっ、どっか行くの」
早めの部活を終えて帰っていた長男のリョウが声を掛けてきた。
「ケンも行くから、久しぶりに2対1でもやるか」
「……明日、休みだから行こうかな」
3人でのサッカーは夏以来だった。
いつもの公園のいつもの場所――。
夜、たったひとつの街灯が、僕たちを照らし、
マーカーコーンで区切った小さなフィールドで
ただひたすらボールを追う。
運動不足の僕は息を荒げ、すぐに汗びっしょりにさせられる。
「おれ、ちょっと休むから……」
休憩中の父親を尻目に長男と次男の1対1が始まった。
鋭く走る高校1年のリョウに中学1年のケンが必死に喰らいつき、
2人のスパイクの音だけがザッザッと響く。
兄弟でやりあい、弟が兄に何度も倒され、とうとう口喧嘩になった。
なかなか終わらぬ兄弟喧嘩に「いい加減にしろ」と僕が怒鳴ると、
リョウとケンはそれぞれ離れて練習をやり始めた。
「1対1やるぞ」
ケンだけに声をかける。
全力を尽くせ――と自分に言い聞かせての挑戦だったが、
ケンにとって、体力の衰えた父親はもう眼中にはない。
兄への対抗心と兄への憧憬が、ボールの向こうからはっきりと分かる。
「先に風呂入ってろ」とケンを先に帰らせた。
入れ違いにトレーニングを終えたリョウが着替えにきた。
「ケンも、わかっているから……」
「あいつから言ってきたんだぜ」
そう言いながらも、リョウはどうやら落ち着いていた。
「最近、調子良くなってきたから、またスタメンとるから」
「そうか、頑張れよ」
帰り際、「乗ってく?」と自転車の方を見てリョウが僕に気を遣う。
小さな広場に雨がしとしとと降り始めた。
コメント
それだけですでに学び取るものが違うのでしょうね。
こないだうちの娘が友達に誘われて初めて行った
高校の文化祭から持ち帰ったリーフレットに
リョウくんの名前をみつけましたよ。
親の見えないところで、子どもはどんどん伸びていますね。
近所の子供たちを見ていて、ほんと子供の吸収する力の偉大さを
実感しています。
お父さん、がんばって。
素晴らしいです。
体力だけについてだけ言うと
その前に、お父さんもあったはずでしょうけど。。。(笑)
こんどは、人生経験で親を目指す時が来ますね。
子供の成長と共に、親にさせて頂くんでしょうね。
私達夫婦も今、親業の仕上げをしなくてはと
思っていますけど。。。。まだまだです。
のりまき君に言われて聞いたみたけど
リョウはどうやら実行委員だったみたいだね。
全く知らなかった(笑)。カミサンは驚いてたよ。
ところで娘さんは高校の文化祭で
どんな刺激を受けたんだろうね。
負けじと踏ん張っているのですが、
体力的には息子たちの背中は遠のくばかり……(笑)。
僕も子供を持って家庭を持って、
教えられること励まされること、たくさんあります。
それは自分の子供だけでなく、
森さんが感じているように、周りの子供たちからも、
たくさん学ぶことがあるでしょうね。
お父さんとして、まだまだ頑張ります!
兄と弟の違い、また娘との違いもあって、
色々と悩みながらも子供の成長を楽しみに見つめています。
naochanさんの言うように、子供との関わりの中で、
僕ら大人たちも成長していき、
本当の意味で親になっていくのかも知れませんね。
naochanさんの言葉、全くの同感です。
温かな言葉、ありがとうございます。