店の外からギターを抱えるのりまきが見えた。
「まだ練習中だから」
全くギターの似合う男だ。一見してまず思う。

店にはいつもの顔と初めての顔、10数名。
カウンターの奥でマスターが軽く手を上げる。
マスターは「何の変哲もない店だから」という。
そんな店だから、変哲なのりまきには相応しい。

「マスター、ビール」と頼むと間もなく、
のりまきの3年半ぶりのライブが始まった。

 気をつけてるのは バランス
 気をつけてるようじゃ マダマダ 
  ――「母なる偉大なおっぱい」より

歌詞を見ながら聴いている人、
ちょっとおしゃべりしながら聴いている人、
のりまきは気にしながら、気にしていない。

「偏屈は偏屈っていわれるのが嬉しいんだよね」と
のりまきとは昔からの友達の、ちーさん。
「偏屈は偏屈でも重偏屈だよな」と僕が付け加える。
音楽を聴きながら笑い、
笑いながら音楽を聴く時がゆっくりと流れる。

 懐かしい顔ぶれが揃っている
 温かな笑顔を浮かべ 待ってる
 痛みさえも生きている証
  ――「痛み」より

宴会なのか、ライブなのか、のりまきのライブはいつもこんな風だ。

【つづく】

コメント

naochan
naochan
2008年3月22日0:14

タイトルにしびれましたよ。
私も歌いたいから、歌うんです。
やられたって感じです。

nophoto
のりまき
2008年3月22日21:58

・1っつ〜ことは、続きがあるンやね(笑)。
音楽ってただ黙って聴いてるもんやないから、
宴会かもしれんし、楽しめればそれでいいんだよ。
でも、「痛み」の時には、シンとしてたよ。

羽生遊
羽生遊
2008年3月22日23:33

naochanさんへ
歌いたいから歌う、
だからみんな歌うのでしょう。
彼、のりまきもずっとそんなスタンスで、
歌い続けています。

羽生遊
羽生遊
2008年3月22日23:37

のりまき君へ
著作権に問題はないよね(笑)。
続きはどこまで行くのか、行き当たりばったりで。
歌や、その場の雰囲気、歌い方も聴き方も色々だな。
だからこそ、ライブは面白いんだろうね。

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