父の日の夜――。
「これ」
部活帰りの長男のリョウが無愛想にジーンズメイトの紙袋を差し出してきた。
「……何これ?」
「ポロシャツだよ」
良かったね、と妻が微笑んでいる。
意外だった。ちょっと照れた。でも、やっぱり嬉しかった。
父の日のプレゼントなんて初めてのことだ。

前日の夜、リョウとちょっとした言い争いがあった。
些細なことだが大切なこと、僕は思わずリョウを怒鳴った。
リョウはふてくされて寝てしまった。
あいつの話をろくに聞かなかった自分にも非は確かにあった。
だから父の日の朝、「ちょっと言い過ぎたな」とだけリョウに言った。
そして、「今度、ゆっくり話そう」と――。

リョウの問題はまだ解決したわけではない。
ただ、今はなんとかなるような気がしている。
自分の息子の力を信じてみようと思う。

「おっ、そうだ、親父に電話してみよう」
息子にプレゼントを貰って、自分の父親のことを思い出した。

コメント

メイ
メイ
2008年6月20日20:10

素敵な父の日になりましたね^^
我が家にも、2人の息子達から宅配便が届き、ウルウルニコニコご機嫌の主人でした。

羽生遊
羽生遊
2008年6月23日14:53

メイさんへ
息子さんお二人からのプレゼントが貰えるなんて、
ご主人と息子さんとの強い信頼関係を感じます。
父の日や母の日のひとコマはそれぞれの家庭にとって、
些細なことかもしれませんが、
そんな小さな幸せの積み重ねが大事なんだと思うこの頃です。

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