手で伝える絆――。
カシアスさんの講演のテーマ。
ボクシングジムの会長として、手を介し技術を伝える彼。
僕らの仕事も手を使い、人の心と体にアプローチを試みている。
「僕らも皆さんも一緒ですよね」
末期ガンと宣告されながらも、日々を明るく生きるカシアスさんは、
人や日常と精一杯向き合い、ボクシングと向き合っている。
一緒だから――
僕はこの言葉を何度もカシアスさんから聞いた。
いつかのジムで、この日の喫茶室で、そしてこの講演で。
彼の中にチャンピオンだからとか、ボクサーだからとか、
そんな、人の諸々の区別はない。
ネクタイを締め、真っ直ぐに僕らを見つめ、
とつとつと静かに笑みを湛えて語り続ける。
「時計を部屋に忘れちゃってさ、ドキドキしていたよ」
「何度もサインを送ってたのに」
講演を終わってからのカシアスさんと奥様のミミコさんが笑っている。
失礼ながら僕も一緒に笑わせてもらった。
【つづく】
カシアスさんの講演のテーマ。
ボクシングジムの会長として、手を介し技術を伝える彼。
僕らの仕事も手を使い、人の心と体にアプローチを試みている。
「僕らも皆さんも一緒ですよね」
末期ガンと宣告されながらも、日々を明るく生きるカシアスさんは、
人や日常と精一杯向き合い、ボクシングと向き合っている。
一緒だから――
僕はこの言葉を何度もカシアスさんから聞いた。
いつかのジムで、この日の喫茶室で、そしてこの講演で。
彼の中にチャンピオンだからとか、ボクサーだからとか、
そんな、人の諸々の区別はない。
ネクタイを締め、真っ直ぐに僕らを見つめ、
とつとつと静かに笑みを湛えて語り続ける。
「時計を部屋に忘れちゃってさ、ドキドキしていたよ」
「何度もサインを送ってたのに」
講演を終わってからのカシアスさんと奥様のミミコさんが笑っている。
失礼ながら僕も一緒に笑わせてもらった。
【つづく】
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