「明日、早起きして行ってみないか」
土曜の夜、妻を長男のリョウのサッカーの試合に誘った。
妻は迷わずに頷いた。
高校生になってからの息子の試合を見に行くのは4回目ぐらい、夫婦ではまだ2回目だ。
翌日――。
場所はリョウの通う高校、小高い丘の上にある。
休日の午前9時過ぎ、校門をくぐると、
古くも新しくもない校舎がひっそりと佇んでいる。
丸刈りの野球部員に挨拶される。清々しい気分になり、青春の頃が頭をよぎる。
来たことを知られないように、僕らはグラウンド横の体育館のピロティに陣取った。
横を見ると応援に来ている人が案外多いことに少し驚いた。
グラウンドでは青のユニフォームのリョウたちが優勢に試合を進めていた。
新人戦、来春の関東大会県予選の出場権が懸かった試合。
リョウはこの試合も右サイドバック、小柄な体がちょこまかと動き回っている。
ワーキャー、隣で妻が騒ぐ。
息子を思う母親の気持ちと、父親の気持ちでは微妙に違うのかもしれない。
ゲームの主導権を握るリョウのチームは時折、笑顔を見せながら楽しそうだ。
勝負事だ。勝ち負けはある。
でも、楽しげに躍動する若者たちを見ていると、
今、この時を大事にしてくれと思う。
6対0――チームは勝った。
大騒ぎはしていないが、喜びに満ちた高校生たちがいて、
その輪の中に確かにリョウもいた。
「帰るか」
その場を離れたくなさそうな眼差しの妻に声をかける。
どうやら、リョウは夏の宿題をやっとやり終えたようだ。
土曜の夜、妻を長男のリョウのサッカーの試合に誘った。
妻は迷わずに頷いた。
高校生になってからの息子の試合を見に行くのは4回目ぐらい、夫婦ではまだ2回目だ。
翌日――。
場所はリョウの通う高校、小高い丘の上にある。
休日の午前9時過ぎ、校門をくぐると、
古くも新しくもない校舎がひっそりと佇んでいる。
丸刈りの野球部員に挨拶される。清々しい気分になり、青春の頃が頭をよぎる。
来たことを知られないように、僕らはグラウンド横の体育館のピロティに陣取った。
横を見ると応援に来ている人が案外多いことに少し驚いた。
グラウンドでは青のユニフォームのリョウたちが優勢に試合を進めていた。
新人戦、来春の関東大会県予選の出場権が懸かった試合。
リョウはこの試合も右サイドバック、小柄な体がちょこまかと動き回っている。
ワーキャー、隣で妻が騒ぐ。
息子を思う母親の気持ちと、父親の気持ちでは微妙に違うのかもしれない。
ゲームの主導権を握るリョウのチームは時折、笑顔を見せながら楽しそうだ。
勝負事だ。勝ち負けはある。
でも、楽しげに躍動する若者たちを見ていると、
今、この時を大事にしてくれと思う。
6対0――チームは勝った。
大騒ぎはしていないが、喜びに満ちた高校生たちがいて、
その輪の中に確かにリョウもいた。
「帰るか」
その場を離れたくなさそうな眼差しの妻に声をかける。
どうやら、リョウは夏の宿題をやっとやり終えたようだ。
コメント
気がつくと、子供は大人になっていてびっくり!なんてことがないように、しっかり目に焼き付けておいて下さいね。^^
(後悔しているメイからのアドバイスです)
息子は負けましたが、リョウ君は勝ったんですね。
一生懸命頑張って、勝ち得た勝利は、思い出深いものになった事でしょう。
羽生遊さんが奥様に思われた感情を
うちのだんなさんも思ったんだろうな、と思うと何だかおかしくなりました。(失礼)
リョウ君がすっごく輝いていて、映画でも観るようです。
宿題終わって、良かったね。
本当ですね。
ついこの間、高校生になったと思ったら来年はもう3年生です。
余計なことを考えずにスポーツに打ち込めるのもあと少しかもしれません。
今回は夫婦でじっくりと見ることができて、息子なりの成長を感じました。
naochanさんにとってもラストゲームは思い出深かったことでしょうね。
果たして僕はあと何回、息子の試合を見られるのか。
小学生の頃、必死にボールを追いかけていたリョウを、
naochanさんのコメントから、ふと思い出していました。