フィールドの横で黙々とアップを続けるケンがいた。
使命はとにかく得点に絡むこと、
この秋のリーグ戦、ケンはサブとしてそんな役割を担っている。
お互い無得点のまま迎えた後半開始早々、ケンがコーチに呼ばれる。
全勝同士、どうしても負けられない一戦だった。
風の冷たい日、僕は次男のサッカーの試合を見に行った。
スリートップの右サイドのポジションで、
しつこくチャンスを窺うケン。
中央に切り込んで仕掛けるか、
それとも右サイドに開いてクロスを上げるのか。
必死の子供たちに両チームの親から無償の声援が飛ぶ。
少し昔の話――。
「なんで、リョウ君を使わないんだ」
応援に行った幼いケンがそう叫んだ。
兄、リョウがまだ小学校6年生の時のことだ。
小学生としての最後のサッカーの試合、
スタメンに兄の姿はなかった。
後半、コーチに背中を叩かれ、
リョウが全力疾走でフィールドに向う。
ケンの表情が一瞬にして輝いた。
弟はいつも兄の背中を見つめていた。
今、兄は高校でサッカーを続け、
中学生のケンは地元のクラブチームにいる。
その日――
フィールドを駆けるケンにリョウの姿が被った。
なぜだか、熱いものがこみ上げてくる。
いつか、弟は兄を追い越す時が来るのだろうか、
それとも、兄は弟に背中を見せ続けるのだろうか、
それとも……
どちらにしても、僕はじっと見守るしかない。
フィールドではケンたちのチームが先制点をもぎ取っていた。
使命はとにかく得点に絡むこと、
この秋のリーグ戦、ケンはサブとしてそんな役割を担っている。
お互い無得点のまま迎えた後半開始早々、ケンがコーチに呼ばれる。
全勝同士、どうしても負けられない一戦だった。
風の冷たい日、僕は次男のサッカーの試合を見に行った。
スリートップの右サイドのポジションで、
しつこくチャンスを窺うケン。
中央に切り込んで仕掛けるか、
それとも右サイドに開いてクロスを上げるのか。
必死の子供たちに両チームの親から無償の声援が飛ぶ。
少し昔の話――。
「なんで、リョウ君を使わないんだ」
応援に行った幼いケンがそう叫んだ。
兄、リョウがまだ小学校6年生の時のことだ。
小学生としての最後のサッカーの試合、
スタメンに兄の姿はなかった。
後半、コーチに背中を叩かれ、
リョウが全力疾走でフィールドに向う。
ケンの表情が一瞬にして輝いた。
弟はいつも兄の背中を見つめていた。
今、兄は高校でサッカーを続け、
中学生のケンは地元のクラブチームにいる。
その日――
フィールドを駆けるケンにリョウの姿が被った。
なぜだか、熱いものがこみ上げてくる。
いつか、弟は兄を追い越す時が来るのだろうか、
それとも、兄は弟に背中を見せ続けるのだろうか、
それとも……
どちらにしても、僕はじっと見守るしかない。
フィールドではケンたちのチームが先制点をもぎ取っていた。
コメント
一人っ子でしたから、やっぱり、「お兄ちゃんを作って」って
小さい時によく言ってましたね。(笑)
それぞれいろんなドラマが繰り広げられているんでしょうね。
神奈川県代表、静岡と同ブロックになりましたね^^;
うちの兄弟を見ていると、仲かが良いのか悪いのか、
わからなくなる時がありますが、
ライバルであり、仲間であり、友達であったりするようです。
ただ、兄はやっぱり兄であって、
さりげなく、弟や妹に優しさを見せる時があります。
そんな時、親の僕も、ちょっとした喜びを感じます。
本当ですね。
小さなフィールドでちっちゃな子供たちが、
一生懸命ボールを追いかけているのを見つけると、
みんな頑張れ、なんて思います。
プロにはプロの、高校生には高校生の、子どもには子どもの、
それぞれのフィールドがあるんですよね。
選手権はどうやら、静岡も神奈川も、
ついでに長男の小学校時代のチームメートがいる熊本も、
最初はうちの近辺で試合なので、
どのカードを見に行こうか、今から楽しみにしています。