ケンはスリートップの右サイドでスタメンだった。
噛みあわないコンビネーション、苛立ち、あせり、自分への怒り……。
前日からの雨でぬかるんだフィールドに容赦なくまた雨が降り注ぐ。
こんな時はチャンスを確実にものにすることが勝利への近道になるだろう。
前半、それができたのは相手チームだった。

5月6日、厚木のグラウンド。
中学生年代のサッカーの神奈川県クラブユース選手権。
ベスト8を決めるこの4回戦は関東大会への切符が懸かった大一番だった。

1点のビハインドで迎えたハーフタイム。
持ち前のスピードを出し切れなかったケンは、
何やらキャプテンと言い争っている。
パスを受けるタイミング、ポジショニング、動き出し……
原因は色々とあるだろう。後半のメンバーからケンは外れた。
ケンはキャプテンに軽く頭を下げ、
その肩をポンと叩いて後半のピッチへと送り出した。

コメント

naochan
2009年5月12日8:05

ケン君、精一杯したんですね。
最後の一行がケン君を象徴していますね。好きです、こんな彼

羽生遊
2009年5月13日10:53

naochanへ
強い個性のぶつかり合いは子供といえども、
時に軋轢を生み、チームとしての力を損なってしまうこともあるようです。
でも、何事も経験ですからね(笑)。

温かいメッセージ、ありがとうございます。
リョウ同様、同じ仲間と試合ができるのもあと半年ぐらいでしょうが、
この経験を生かして、親として人間的にも、
もう一歩成長して欲しいと思っています。

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