個性豊かな点が強固な線で結ばれていない状態――
僕の目には今のケンたちのチームがそんな風に見えた。
それでもゴールを奪いたい。どうしても負けたくない。しかし――

後半、相手チームはカウンター気味の素早い攻撃で、
開始早々のチャンスを再びものにする。
そのままの勢いで2点を連取、0対4、逆転はかなり難しい。
必死にボールを追うイレブンにもさすがに落胆の色が見え隠れする。

「まだ、終わってないぞ!」

どんな時でも勝敗よりも大切なものは絶対にある。
最後までやり切って欲しい。
ただそれだけを僕は念じて、土砂降りのフィールドに向って大声で叫んでいた。
その後、2点を返すも時既に遅く、
チームは関東への出場権にあと一歩のところで届かなかった。

すぐ後ろで応援していた妻に涙が光り、
辿り着けなかった子供たちの思いに激しい雨がぶつかり続ける。

「お疲れ様でした。次、頑張りましょう」
「すみません……また、やり直します」

挨拶に行くと監督とコーチが責任の全てを背負うような顔をしている。
平日の夜も土日もなくチームのために奮闘する監督やコーチたちへの
感謝の気持ちは変わるはずもない。

雨はまだ止まない。頭の先からシューズの中までずぶ濡れの子供たちがいる。
雨は必ず止む時が来る。
このチームでの明日がたった今始まった。

コメント

メイ
2009年5月13日22:12

残念な結果のようでしたが、息子さんたちの心に刻まれた試合となったことでしょう。
ご父兄の皆様も、お疲れ様でした。
特にお母様たちの洗濯の御苦労は相当なものですね。

naochan
2009年5月14日1:08

本当に後一歩だったのに・・・残念でしたね。
でも、その雨の中の必死が、絶対に人生の宝になります。

私も必死にならなければ。

羽生遊
2009年5月14日22:13

メイさんへ
温かいメッセージ、ありがとうございます。
いつも使っているユニフォームはうっすらとドロ汚れが染み付いています。
それもこれまでの証、子供たちもその証を大切にして欲しいと思います。

他のご父兄の方たちも、いつも温かい眼差しを子供たちに注がれていて、
親子の深い絆を感じています。
やっぱり、子供たちのスポーツっていいですね。

羽生遊
2009年5月14日22:15

naochanへ
近いようで遠かった一歩、それをこれからの糧にして欲しいですね。
勝つことも大切でが、敗戦から学ぶことはたくさんあります。

子供も親も必死になる瞬間は大切ですよね。

nophoto
窓際淳司
2009年5月17日18:37

「止まない雨はない」「明けない夜はない」
それを信じて、雌伏の時をどう過ごすか。そこが人間の『価値』の分か目だと思います。

以上、久々の登場、窓際淳司でした。

羽生遊
2009年5月18日15:34

窓際淳司さんへ
久しぶりです! 
関西の空の下でホットな生活を送っていることでしょうね(笑)。

いつかの雄飛を胸に秘め、じっと雌伏の時を過ごせるか否か。
窓際さんの言うとおり、それが出来るかどうかですね。
こちらに来る時は連絡待ってますよ!

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