円陣を組むイレブンには爽やかな笑顔がこぼれている。
そんな中、ケンはいつもとは違う緊張を体全体で感じていた。
共に４－３－３の布陣、気の抜けないタイトな試合になりそうだ。
開始早々、探り合う展開の中にも激しいボールの奪い合いがある。
序盤、右サイドからの攻撃を仕掛けたいケンだが、
思うような走り出しができない。
相手の攻撃は分厚く、そして鋭い。
必然的にフォワードのケンたちも守勢に回ることが多くなる。
それでもチームはパスを駆使し、連動する攻撃を目指し続けた。
お互い激しくプレスを掛け合い、ボールを奪い合う。
前半３０分、ケンは右サイドにできた広大なスペースへと猛然と走った。
フリーランニング、ボールを呼び込む動き。
中盤の選手がそれを察知し、素早くパスを出す。
しかし、パスカットを狙っていた相手に見事にボールはカットされ、
一瞬にして攻守が入れ替わる。
守備体勢の整わない仲間たちの間隙を縫って、
中央からの突破を図る相手攻撃陣。
ループ気味に放たれたシュートはキーパーの手に当たりながらも、
ゴールネットに転がり込んだ。重い先制点を相手に奪われる。
更にもう１点を奪われて、ケンは前半終了間際に交代を告げられる。
何もできなかった。何もさせてもらえなかった。
悔しい思いをチームメートに託し、ケンはピッチを出た。
【つづく】
コメント
今秋は、まだフィールドに足を運んでいません。
今日は、眼の前にフィールドが現れ、一緒に臨場感を味わせていただきました♪
駄文にお付き合い戴き、ありがとうございます。
あと１回、つづきがある予定です。
結果は見えてしまっているようですが、
次男にとって一歩成長した試合になったことは確かなようです。
選手権の神奈川予選もベスト８が揃いました。
次男はチームメートとそのうちの１試合を見に行きました。
静岡もトーナメントは進んでいるでしょうね。
また楽しみな季節がやってきますね。
青春してますなぁ・・・
今年、僕は父親とした子供たちの躍動する姿を見ることができました。
それは僕にとっても大切な思い出になりました。
この試合はケンたちのチームにとっての集大成でしたが、
山あり谷ありだったチームの絆を感じたナイスゲームでした。
まさに青春ですね。