ジムナジウムのスーパーマンを訪ねて・1
2009年11月12日 読書
【彼にとっては、クルマのセールス台数を増やすのと同じくらい、
自分の連勝記録を伸ばすのも大切だった。】
――「スローカーブを、もう一球」山際淳司著、角川文庫、
「ジムナジウムのスーパーマン」より
助手席に娘を乗せ、横浜新道をのんびりと走らせながら、
「ジムナジウムのスーパーマン」を思い出していた。
スカッシュの神様こと坂本聖二さんはカーセールスの仕事をやり続けながら、
スカッシュにも全力疾走だった。
その坂本さんが定年前、最後の1年を過ごすことになった藤沢の販売店に、
僕たちはクルマを走らせていた。
10月25日、坂本さんの退職の日は1週間後の11月1日だ。
その3日前、坂本さんは体の手入れにうちに来た。
「今月、点検だよね……でも、遠いから無理しなくていいよ」
その言葉の本心を僕は百も承知だった。
鶴見の販売店で偶然出会ってから12年――
もう、セールスマンとしての坂本さんには会えないことになる。
坂本さんからはたくさんのことを学ばせてもらった。
スカッシュも教えてもらった。
頂点を極めた男の誇りと人を大切にする心に触れることもできた。
翌日、僕は藤沢の店にクルマの点検の予約をいれた。
【つづく】
自分の連勝記録を伸ばすのも大切だった。】
――「スローカーブを、もう一球」山際淳司著、角川文庫、
「ジムナジウムのスーパーマン」より
助手席に娘を乗せ、横浜新道をのんびりと走らせながら、
「ジムナジウムのスーパーマン」を思い出していた。
スカッシュの神様こと坂本聖二さんはカーセールスの仕事をやり続けながら、
スカッシュにも全力疾走だった。
その坂本さんが定年前、最後の1年を過ごすことになった藤沢の販売店に、
僕たちはクルマを走らせていた。
10月25日、坂本さんの退職の日は1週間後の11月1日だ。
その3日前、坂本さんは体の手入れにうちに来た。
「今月、点検だよね……でも、遠いから無理しなくていいよ」
その言葉の本心を僕は百も承知だった。
鶴見の販売店で偶然出会ってから12年――
もう、セールスマンとしての坂本さんには会えないことになる。
坂本さんからはたくさんのことを学ばせてもらった。
スカッシュも教えてもらった。
頂点を極めた男の誇りと人を大切にする心に触れることもできた。
翌日、僕は藤沢の店にクルマの点検の予約をいれた。
【つづく】
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