家の裏の隅にネコが巣を作っていた。
「ミャア」と鳴く声に妻と娘がこっそりと覗く。

そこには確かに生まれたばかりの子猫が一匹、親の帰りを待っていた。
「かわいい」を連発し、すっかり飼う気になっている二人。

「勘弁してくれよ」と言いながら、
万が一の時の覚悟を決めて、仕事の合間に覗いてみた。

僕の気配を感じるとか細い声で「ミャア」と鳴く。

夕方、まず娘が帰って来て、子猫のことを聞いてきた。
続いて仕事から帰って来た妻も同じように聞く。

同じ説明を二人にした。

昼、親猫の声が聞こえた。
子猫がそれに何度も応えていた。
暫くしてから、こっそりと巣を覗いた。
そこに子猫はいなかった。

コメント

nophoto
のりまき
2010年5月16日0:54

切ないねぇ・・・。
人間が余計なお世話をしてしまうと
(ただ見ているだけでも)
親猫は我が子が奪われると感じて
子を食べてしまうのですね。

でも、また子を産むわけですから
野生は強いなぁと、人間の非力を思います。

naochan
2010年5月16日11:45

私の知る限りでは、人に気づかれたら
親猫は、仔猫をくわえて別の場所に移動するとか。

私も実際、親猫がせっせと仔猫の首根っこをくわえて
急いでいる所を見ましたよ。

仔猫、可愛いですねぇ。
でも、生き物には情が移ってしまい
また、責任もあることですから、
飼うときは、よほどの覚悟が必要と思っています。

うちのだんなさんもソレをすごく考えて
生き物を飼いたくないと言いますねぇ。

羽生遊
2010年5月17日9:08

のりまき君へ
可愛そうなことをしてしまったかもな。
娘たちも僕も昔の経験から、捨て猫だったら、
何とかしてやりたいと思ってね。
まぁ、自然に生きる動物たつに、
何とかしてやろうと思うのが人間のエゴかもしれないね。

今回は幸いにして親猫が連れて行ったようだよ。

羽生遊
2010年5月17日9:12

naochanへ
今回は親猫が別の場所に連れて行ったようです。
昔、妹が捨て犬を連れてきたことがあって、
17年間、飼っていたことがあります。
naochanご夫妻がおっしゃるように、
生き物を飼うことということは本当に大変です。

今回、娘は可愛いだけで飼いたいと思ったのですが、
僕は捨て猫だったらと、覚悟を決めていました。
今回の一件は些細なことでしたが、
生き物との関わりを考える上で貴重な体験になりました。

温かいメッセージ、ありがうございます。

おふく
2010年5月17日22:39

羽生遊さん、こんばんわです。

>万が一の時の覚悟を決めて、仕事の合間に・・・
お気持ち、凄く分かります。
あの可愛いくてケナゲな鳴き声や仕草を目にしたら、もう・・・。となりますよね。


小学校時分。
捨てられた子犬を近所で発見し、両親に飼いたいと願いましたが「可哀想だけでは飼えないんだよ」と父親に反対されました。
父の言葉の意味が全く分からず反発してみたものの、結局諦めてしまいました。その後、子犬の場所は避けて通るようにしました。

オトナになり、漸くその言葉の意味が解ってきた訳ですが実際、動物を飼ってみて更に父の言葉の重さを感じております。
人間とは違う生き物と生活するという現実がどれだけ大変なのか、という事を。


母猫が連れて行ったという事にホッとした反面、空っぽになった巣を見て少し寂しく感じたと思われます。
無事、子猫がたくましく育っていくことを願います。

羽生遊
2010年5月19日16:09

おふくさんへ
こんにちは。
過去にも何回か娘達にせがまれたこともありましたが、
僕自身が覚悟を決められずにいました。

昔、うちにも犬がいたことがあります。
散歩をし、一緒に遊び、病気の時は看病もしました。
その大変さも実感としてわかっていたつもりです。

今回、あの子猫とは縁がなかったわけですが、
親猫と一緒に逞しく育っていくことを祈るばかりです。

>空っぽになった巣を見て少し寂しく感じたと思われます。

おふくさんの言う通りなんです。

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