高校時代、Kはバスケット部のキャプテン、
僕はバドミントン部のキャプテンだった。

親友ではない。
ただ、お互いクラブのキャプテンとして、
意識し合っていたと、僕は勝手に思っている。

クラブの成績も学校の成績も、
Kは僕のずっと先を走っていたが、
素直にKの努力の形だと心の片隅で感心していた。

Kと僕は同じ体育の道を志し、
Kは初志を貫徹し体育教師になった。
僕は挫折を繰り返し、結局家の仕事を継いだ。

社会に出てからも、Kはともかく僕はKを意識していた。

あいつには負けたくない――

Kと同じ土俵で戦っているわけでもないけれど、
どこかでKの存在を気にしていた。

20年前、Kは突然、いなくなってしまった。
結局、Kには負けっぱなしだった。

時々、僕はKを思い出して自分を奮い立たせている。
心の中のKはいつもどんぐり眼で笑っている。

コメント

naochan
2010年7月1日8:50

良きライバルですね。

羨ましいと同時に、残念ですが、
今も、これからもずっと一緒ですね。

羽生遊
2010年7月2日10:33

naochanへ
少し壁にぶつかったりすると、
時々Kを思い出すことがあります。
Kは僕のことなど相手にもしていなかったと思いますが、
高校時代、一目を置いてくれていた実感はありました。

おこがましいのですが、
心のどこかでKの分までという気持ちがあります。

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