「俺はダメだった……」と言うケンの第一声に、
「ピッチに立てない仲間もいるんだぞ」と言葉が滑った。
言った傍からもっと気の利いた言葉があったはずだと後悔した。
チームはブロック優勝の県ベスト8。
昨年、先輩達が惜敗したチームへの雪辱を果たし、
春の大会に向けてのシード権も獲得した。
もっと素直に喜んでやって良かったはずだった。
昔のこと――
ケンがまだ小学4年生の時、
ある招待試合で優秀選手に選ばれた。
首から提げたメダルを嬉しそうに見せに来たケンに
僕はこう言ってしまった。
「これって、みんなで獲ったメダルだよな」
一瞬顔を曇らせたケンはすぐに「うん」と頷いた。
その夜、そのことを妻に告げると、
「なんで素直に褒めてあげられなかったの」とたしなめられた。
あの日のことが頭をよぎった――
ひとしきり試合の話を終え、息子が制服を脱いだ。
背中がひと回り大きくなっている。
浅黒く日焼けした顔は心地良い疲れに包まれているようだった。
「ピッチに立てない仲間もいるんだぞ」と言葉が滑った。
言った傍からもっと気の利いた言葉があったはずだと後悔した。
チームはブロック優勝の県ベスト8。
昨年、先輩達が惜敗したチームへの雪辱を果たし、
春の大会に向けてのシード権も獲得した。
もっと素直に喜んでやって良かったはずだった。
昔のこと――
ケンがまだ小学4年生の時、
ある招待試合で優秀選手に選ばれた。
首から提げたメダルを嬉しそうに見せに来たケンに
僕はこう言ってしまった。
「これって、みんなで獲ったメダルだよな」
一瞬顔を曇らせたケンはすぐに「うん」と頷いた。
その夜、そのことを妻に告げると、
「なんで素直に褒めてあげられなかったの」とたしなめられた。
あの日のことが頭をよぎった――
ひとしきり試合の話を終え、息子が制服を脱いだ。
背中がひと回り大きくなっている。
浅黒く日焼けした顔は心地良い疲れに包まれているようだった。
コメント
息子の事、人一倍、活躍が嬉しいくせに
より高い精神性を求めてしまう
父親と母親の違いでも良いかな?と私は思っています。
男の人の視野の広さに、敵わないと思ったときがありましたから。
何故か次男が4年生の時もことは、
ずっと心の中にあって
今回、ちょっと思い出してしまったわけです。
自分を省みれば、子供に偉そうなことを
いえるわけでもないのに、
ついつい言ってしまってました(笑)
母親と父親の違いでいいんですよね……
高校生になり次男はそれなりに逞しくなっているようです。
黙っていても、子は成長するものですね。