12月23日、リーグ昇格をかけた試合は、
選手権で惜敗を喫した相手とのリベンジマッチだった。

選手権敗退後、この試合のために残った3年生もいる。
様々な事情を抱え、早めに引退を余儀なくされた3年生もいた。

この日はそんな3年生たちの思いが込められた熱い試合だった。
開始直後の先制点から、前半終了間際に追加点。
更に3点目は後半に3年生のキャプテンが意地で相手ゴールに蹴り込んだ。

その後、ケンが控えに回っていた3年生と交代し、
更にもう一人の3年生もピッチに入り、
夏を越してくれた3年生7人全員がラストゲームのピッチに出揃った。

交代でピッチを出たケンが微かに微笑みながら、
応援に来てくれた3年生に手を差し伸べた。
その彼はシーズン途中までは、
主力としてチームを支えてくれていた先輩だった。
先輩も笑顔でケンと握手を交わしてくれた。

僕は思う――
チームスポーツはどうしてもレギュラーとサブができてしまう。
時にそれは軋轢となり、不協和音ともなってしまう。
でも、綺麗ごとと言われてもいい。
本当に大切なのは試合に出ることだけではないはずだ。
辛い経験や地団駄を踏んだ思いも、必ず人生の糧になるばすだと。

握手をしてくれた先輩の横顔から、
そんな思いが沸き起こって柄にもなく目頭が熱くなってしまった。

ピッチの3年生たちは引退試合を喜びの涙で締めくくった。

そしてピッチの外にいた3年生たちも、
間違いなくこの日が高校サッカーの引退の日となった。

コメント

メイ
2011年12月25日18:52

羽生遊さん^^

今までも幾度となく見てきたシーン、
関係者でない私でも、その都度熱くこみ上げるものがあります。
表舞台と裏、どちらも陽が当たる場所であることを
知っているチームは、強いですね。
高校までは、
監督さんの人柄や指導力も大きな存在ですね。

naochan
2011年12月26日17:14

泣いちゃったじゃないですか。グスン

いいですね。若いって。

そして、こんな若者たちがいる事が、うれしいです。

羽生遊
2011年12月28日9:26

メイさんへ
高校と言う教育の場でスポーツをする時、
ただ単に勝敗や強くすることに拘った指導には疑問を感じます。
部員全員にとって完璧な指導などあろうとは思いませんが、
メイさんの言うとおり、様々な場所が部員が輝ける指導こそが、
求められる部活の指導だと感じています。

今回の試合、応援に駆けつけてくれた3年生や
ケンと握手をしてくれた先輩の顔を見た時、
僕は本当に嬉しかったんです。

いよいよ選手権ですね。
僕も裏舞台、支えてきた人たちを思いながら、
見られればと思っています。

羽生遊
2011年12月28日9:31

naochanへ
青春ですよね。
部活を続けていくことって、楽しいことばかりじゃなくて、
それ以上に辛いこと、耐えることも多いと思うんです。
そこを乗り越えて成長できるし、
更に次のステージで活かせると思うんです。

naochanのようにこんな若者達を喜んでくれる大人がいることも、
僕はとても嬉しいです。

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索