上州ひとり旅・山の国
2013年5月11日 エッセイ コメント (2)山の国だな……
山間の道を軽トラックに乗る親子がふたり。
ハンドルを握るのは81歳の父親の方だ。
「軽トラックは燃費がいいし、小回りも利くから便利だよ」
草津へと続く道は都会の道とはまるで違う。
途中、建設中の八ッ場ダム近くを通る。
テレビでみるよりも恐ろしく広大な土地が、
巨大なダムへと変貌しようとしている。
「集落はすっぽりなくなっちゃうし、山肌があんなに削られて……」
父は昔から反骨精神が旺盛で、自然を愛する男だ。
それにしてもダム建設による地球のダメージはあまりにも大きい。
ダムだけではない。
開発という名のもとにどれだけの財産を僕らは失ったのだろう。
「連休中だというのに道は空いてるね」
爽やかな空、済んだ空気、眩しいほどの緑。
僕らが守らなければならないものがここにはたくさんある。
「うまい奈良漬を売っているところがあるんだけど、寄ってくか」
父が故郷に移り住むようになって約18年。
もうすっかり群馬の人間に戻っている。
【つづく】
山間の道を軽トラックに乗る親子がふたり。
ハンドルを握るのは81歳の父親の方だ。
「軽トラックは燃費がいいし、小回りも利くから便利だよ」
草津へと続く道は都会の道とはまるで違う。
途中、建設中の八ッ場ダム近くを通る。
テレビでみるよりも恐ろしく広大な土地が、
巨大なダムへと変貌しようとしている。
「集落はすっぽりなくなっちゃうし、山肌があんなに削られて……」
父は昔から反骨精神が旺盛で、自然を愛する男だ。
それにしてもダム建設による地球のダメージはあまりにも大きい。
ダムだけではない。
開発という名のもとにどれだけの財産を僕らは失ったのだろう。
「連休中だというのに道は空いてるね」
爽やかな空、済んだ空気、眩しいほどの緑。
僕らが守らなければならないものがここにはたくさんある。
「うまい奈良漬を売っているところがあるんだけど、寄ってくか」
父が故郷に移り住むようになって約18年。
もうすっかり群馬の人間に戻っている。
【つづく】
コメント
亡き義父母が、いつか、故郷に戻りたいと言っていたのを
思い出しました。
自然との共存、人類の永遠の課題だと思います。
うちの父親はいずれは故郷でという思いがあったようで、
それを実現した自由人です(笑)
それに引き換え、母親はというと根っからの都会人で、
結局は個人主義別居夫婦ということです(笑)
夫婦には色々な形があっていいと思いますが、
うちの両親は変わっている方かもしれません。
それにしても5月の緑は最高でしたよ。