親友のフォトグラファー、ノジョー君が自分を貫き通した。

「どんなに高額のオファーでもできることと、できないことがあるんですよ」

信頼のおける知人からのオファー。
ノジョー君自身がライフワークとして取り組んでいる「原発のある風景」。
そのノジョー君の写真をある雑誌が特集で使いたいと言ってきた。

直接、オファーがあった知人は仕事も一緒にやったことがある信頼のおける人物。
ただ、その雑誌のスタンスが問題だった。

原子力発電再稼働推進――

ノジョー君はあの福島での大事故がある以前から、
原発の問題には、手弁当で取り組んでいた。
今では足を運んでいない原発はなく、
そこに関わる何人もの人たちと言葉を交わし、
原発を取り巻く風景を写真に収めてきた。

反対派や推進派の公人や民間人、たまたまそこに住んでいた住民、
数多くの話を聞き、何度も現場に足を運んでいる。
その結果、出した答えと違うスタンスの雑誌に写真を掲載することは、
彼にとっては、やはりできない相談だった。

彼とて人だから、付き合いや報酬のこと、
また、スタンスは違えども、原発に関係する特集に掲載する意義を考えれば、
当然、思い悩んだに違いない。
しかし、ポリシーだけは捨てるわけにはいかなかった。

僕は彼の取り組みを陰ながらずっと応援している。
今回のオファー、失ったものは決して小さくはなかったと思うのだが、
失わなかったものはその何倍も大きかったと思う。

ノジョー君は先日も福島の原発の取材に行った。
漁船に乗り、海側から原発と対峙した。
だからこそ、見えるものがあり、
だからこそ、伝えられることがある。

コメント

naochan
2014年10月30日10:42

ノジョーさんに敬意を表します。

羽生遊
2014年11月4日16:15

naochanへ
筋を通し、決して独りよがりにならずに、
ぶれないポリシーを持つことは簡単ではないと思います。
僕も彼の行動には敬意を抱いています。

ご多忙な日々のようですね。無理しないでくださいね。

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