真夜中の土曜、鶴見川に跨る大綱橋をひとり歩いていた。

久しぶりに飲みすぎたアルコールのせいなのか、
久しぶりに語り合った人のせいなのか、
体は寒さに震えながらも、心は熱く興奮していた。

高校大学を通じての先輩、Oさんとは十数年ぶりの再会になる。
Oさんは中学からバスケットボール一筋、
今も仕事の傍らミニバスケットを地元の小学生に指導している。

僕は部活は違っていたが、高校でも大学でも、
会えば声をかけてくれて、いつも励ましてもらっていた。
運動能力に優れ、頭脳の明晰、それでいて硬派。
Oさんは憧れであり、遠い目標でもあった。

そんなOさんと元住吉にあるOさんのご友人がマスターの店で会うことになった。
待ち合わせの駅裏――昔のままの筋肉質で精悍なマスクのOさんの笑顔があった。
駅からすぐの店に入り、カウンターに座る。
マスターに僕を紹介し、早速ビールで乾杯。

初めて会ったのが僕は16、Oさんは17歳。
そして、今は54と55。時を経ても先輩はいつまでも先輩だ。

そんなOさんの人生は波風が多く、楽しいことばかりではなかった。
恩師に裏切られ、教師は断念することになり、
公私に渡り、苦難と立ち向かう人生を送っていた。
昔のこと、僕の知らなかったOさんのこと、お互いの今。

いつの間にか、カウンターに来た初めて会った方も2人加わり、
Oさんとマスターを中心に大いに盛り上がった。
あっという間の時、それでいて重くて楽しい時間だった。

帰り、東横線にOさんと乗り、綱島で降りた。
Oさんの連れられてラーメン屋に立ち寄る。
ラーメンと餃子、ビールを頼み、あっという間に平らげるOさん。
僕はもう、Oさんの話で心もお腹もいっぱいになっていた。

じゃ、またな――とまた明日も会うようにラーメン屋の前で別れた。

大綱橋を渡りながら、Oさんことが頭から離れなかった。
もっと早く会えば良かったと後悔した。

コメント

naochan
2017年1月23日16:53

久しくお会いされていなかったのに、お友達と自然と、ずっと会っていたかのように
お話をされて、楽しい時間を過ごされた。うらやましい限りです。
Oさん、素敵ですね。

羽生遊
2017年1月26日11:07

naochanへ
忘れ得ぬ人やどうしても会いたい人がいると思いますが、
みんなに会えるわけではありませんよね。
自分の中でOさんはどうしても会いたい人でした。
今回が縁でまた会える時もあると思います。

ただ(笑)、Oさんに影響されて、Oさんと同じ結婚式場を使ったことや、
自分たちの披露宴の時に、乾杯を歌いながらボディービルをして頂いたことを、
Oさんはすっかり忘れていました。

naochan
2017年1月26日15:45

コメントを読んで、思わず「あはは」と笑ってしまいました。
やっぱり、Oさん、チャーミングです。

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索