夏休みの1日、千葉の館山市にある喫茶店を訪れました。

「ロジェルージュ」――

高校3年の時の担任のシュンメイ先生が定年後に開いた喫茶店。
房総の長閑な町並みの中、おしゃれなお店がそっと佇んでいました。

「金曜日は休みだけど、どうせ仕込みはするから来なよ」

シュンメイ先生の言葉に甘えて、祝日の山の日に夫婦でお邪魔しました。

店内にはほのかに木の香りが漂い、真っ白なピアノが置いてあります。
1年前の同窓会以来の再会、文学青年だったシュンメイ先生は、
喫茶店のマスターの顔になっていました。

「今日のランチはグラタンと冷製バストだけどいいよな」

この歳になって恩師の料理が食べられるなんて幸せ者だと思いつつ、
店内に穏やかに流れる時間に身を任せました。

丹精を込めて作って頂いたランチは、
どちらも優しい味で手抜きは一切ありません。

「儲けがでなくてね」と苦笑いの先生。
素材にこだわり、値段にもこだわり、地元で料理と文学の日々を送っています。

最初は神奈川で教職に就き、その後、出身の千葉で再就職。
定年まで教師を全うし、文学にずっと親しんでいる先生。
18歳の頃の僕はシュンメイ先生からたくさんの恩を頂きました。

「羽生は人見知りだったけど、あの時はクラス運営に頑張って貰ったよ」

若い頃、仲間との付き合いが苦手で、自分なりに必死になっていました。
そんな自分の本性もわかってくれていたのかと、
恩師の教えが時を超えて心に響きます。

久しぶりの涼しい夏の日、高校時代の熱い気持ちが蘇りました。

※「ロジェ・ルージュ」
http://bosotown.com/archives/9779

コメント

まるこ
2017年8月13日18:59

恩師のお料理が頂けるなんて素敵ですね〜♪
「人生の楽園」というテレビ番組がありますが、それを地で行っている様な御人ですね。恩師とずっと交流があるのって素晴らしいですよ。
羨ましいです。

羽生遊
2017年8月14日21:38

まるこさんへ
まさかこの歳で先生の料理が食べられるとは思ってもいませんでした。
「人生の楽園」のことは、初めて知りました。
先生は喫茶店をしながら、もうひとつの夢も追い続けています。
そこに先生にとっての究極の人生の楽園があるのかもしれませんね。

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