躍動する若き大人たちのチームへ・7年目のフリッパーズ
2019年5月1日 江ノ島フリッパーズ コメント (6)初夏を思わせる陽射しが注いでいた。体を全力で動かすことから遠ざかってしまった僕からすれば、こんな日に思い切り走り回れる若者たちは素直に羨ましい。そうは言っても、僕にもそんな青春の時代は確かにあった。過去に戻って、そんな眩しい季節を体感することは残念ながらできない。しかし、フィールドを走り回る若者たちを見る楽しみや喜びは、むしろ、今の方が真っ直ぐに伝わってくる気がする。
4月21日の日曜、昼下がり。チームトレーナーとなった元選手のシュンタから、江ノ島フリッパーズの試合の誘いがあった。渡りに船のような気分だった。7年前のチーム発足時、ひょんなことから僕はフリッパーズの初年度のシーズン全試合を見ることになった。理由は様々ある。でも、その一番の理由は「楽しんで勝つ」のチームコンセプトにあった。競技スポーツである以上、スポーツには勝ち負けは付きものだが、フリッパーズのコンセプトには「勝つ」の前に「楽しんで」が乗っかっていた。そこが気に入った。スポーツ界の現状を振り返った時、行き過ぎた勝利至上主義のために、失われているものがたくさんあるように思っていた。
だからこそ、フリッパーズがどんな風に楽しんで勝つ1年を過ごすのか、この目で見届けたかった。当時のフリッパーズは神奈川県社会人リーグ3部、初年度に2部昇格を目指していたが、残念ながら5勝1敗1分の好成績ながら、昇格は惜しくも逃した。それでも、フリッパーズの戦いぶりは、僕が期待していた以上だった。レギュラーもサブもない交代枠を全部使っての全員サッカー、個性をチームに活かすポゼッションサッカーは、「スポーツは楽しんで見るもの」ということを再認識させてくれた。
そんなフリッパーズの試合をおよそ5年振りに見る機会をシュンタが作ってくれた。その誘いに乗らないわけにはいかない。フリッパーズは2年目のシーズンに2部昇格を果たし、その試合は見届けることができた。あれから5年、チームはどんな成長を遂げたのか、僕は久しぶりの高揚感に身を委ねてみることにした。
東急田園都市線の市が尾駅から歩くこと15分、人工芝が輝く谷本公園サッカー場に着いた。東名の横浜青葉インターがすぐそばにあり、鶴見川が近くを穏やかに流れている。着いた時には、まだ試合は始まっていなかった。
今シーズンの第2節を迎えるフリッパーズは、シーズン初勝利を目指していた。谷本公園サッカー場には、小さいながらもスタンドがあり、対戦相手は横断幕を取り付けて、サポーターたちが気合いを入れていた。見渡すとフリッパーズのサポーターは僕を含めて、9名程度。チームの発足時から情熱を持って、チームの運営に関わっている顔見知りの人たちもいた。彼らはこの間、フリッパーズをずっと見守っている。気まぐれで訪れた僕とは比べ物にならないフリッパーズ愛を持っている。
選手兼コーチ役のミツ、チームトレーナーのシュンタもフィールドにいた。シュンタと目が合い、手を上げると笑顔の挨拶が返ってきた。ミツもシュンタもゼロからスタートしたフリッパーズに当初から関わっている。この日も発足時からのメンバー4人がスタメンに名を連ねていた。ベンチには10番のヒロもいる。5年ぶりに見る社会人となった彼らの顔は皆、精悍さを増していた。
シュンタの先導でメンバーが黙々とアップを始めた。サッカーチームらしくなった。この日、新しいメンバーたちと融合したフリッパーズが、どんな試合を見せてくれるのか、初年度のシーズンとはひと味違う期待が膨らんだ。
対戦チームは昨年県リーグ1部で優勝したチームのセカンドチーム。結果を見るとフリッパーズは昨年も同じカテゴリーで戦い、負けている。簡単には勝たせてくれないだろう。どのチームにも言えることだが、社会人として県リーグに参戦して、サッカーを続けていくということは、それなりのハードルもある。平日に練習が組めるか否か、また練習場の確保。そもそも仕事との絡みでの練習への参加の可否、家庭を持つ者であれば、家族との関係。子供の頃とは違い、ただ好きなだけではサッカーはやれない。このフィールドに集う選手たちは、そこを乗り越えてきた選手たちばかりだ。金のためでも名誉のためでもない。もっと純粋な気持ちを持って、サッカーというスポーツと向き合っていると思う。チームのため、支えてくれる人たちのため、そして何よりも自分のため。サッカーの楽しみをとことん追求し、人生をも楽しんでいると思うのだ。
ホイッスルが鳴った。フリッパーズの若き大人たちが躍動している。幸運にも僕はフリッパーズの7年目のシーズンに立ち会うことができた。時を経て、新メンバーが加わっても、フリッパーズはスポーツの理想を追求するチームのまま確実に成長している。
激しいボールの奪い合い、ぶつかり合う肉体、時にはミスもするが、フリッパーズ持ち前のパス交換は進化していた。チームをずっと支えてきたメンバーたちも輝いている。ハズムがドリブルでテンポよく駆け抜ける。ユウとユウヤが積極的に両サイドを切り裂き、ショウマがファインセーブと的確なコーチングでチームを盛り上げる。ミツ、シュンタ、ヒロたちも、一丸となって仲間たちを見つめている。勝ち負けは、後回しで良い。たったひとつのボールを追いかけ、ゴールを目指して、ひた走る若者がいるだけで、もう、それだけで十分だ。
4月21日の日曜、昼下がり。チームトレーナーとなった元選手のシュンタから、江ノ島フリッパーズの試合の誘いがあった。渡りに船のような気分だった。7年前のチーム発足時、ひょんなことから僕はフリッパーズの初年度のシーズン全試合を見ることになった。理由は様々ある。でも、その一番の理由は「楽しんで勝つ」のチームコンセプトにあった。競技スポーツである以上、スポーツには勝ち負けは付きものだが、フリッパーズのコンセプトには「勝つ」の前に「楽しんで」が乗っかっていた。そこが気に入った。スポーツ界の現状を振り返った時、行き過ぎた勝利至上主義のために、失われているものがたくさんあるように思っていた。
だからこそ、フリッパーズがどんな風に楽しんで勝つ1年を過ごすのか、この目で見届けたかった。当時のフリッパーズは神奈川県社会人リーグ3部、初年度に2部昇格を目指していたが、残念ながら5勝1敗1分の好成績ながら、昇格は惜しくも逃した。それでも、フリッパーズの戦いぶりは、僕が期待していた以上だった。レギュラーもサブもない交代枠を全部使っての全員サッカー、個性をチームに活かすポゼッションサッカーは、「スポーツは楽しんで見るもの」ということを再認識させてくれた。
そんなフリッパーズの試合をおよそ5年振りに見る機会をシュンタが作ってくれた。その誘いに乗らないわけにはいかない。フリッパーズは2年目のシーズンに2部昇格を果たし、その試合は見届けることができた。あれから5年、チームはどんな成長を遂げたのか、僕は久しぶりの高揚感に身を委ねてみることにした。
東急田園都市線の市が尾駅から歩くこと15分、人工芝が輝く谷本公園サッカー場に着いた。東名の横浜青葉インターがすぐそばにあり、鶴見川が近くを穏やかに流れている。着いた時には、まだ試合は始まっていなかった。
今シーズンの第2節を迎えるフリッパーズは、シーズン初勝利を目指していた。谷本公園サッカー場には、小さいながらもスタンドがあり、対戦相手は横断幕を取り付けて、サポーターたちが気合いを入れていた。見渡すとフリッパーズのサポーターは僕を含めて、9名程度。チームの発足時から情熱を持って、チームの運営に関わっている顔見知りの人たちもいた。彼らはこの間、フリッパーズをずっと見守っている。気まぐれで訪れた僕とは比べ物にならないフリッパーズ愛を持っている。
選手兼コーチ役のミツ、チームトレーナーのシュンタもフィールドにいた。シュンタと目が合い、手を上げると笑顔の挨拶が返ってきた。ミツもシュンタもゼロからスタートしたフリッパーズに当初から関わっている。この日も発足時からのメンバー4人がスタメンに名を連ねていた。ベンチには10番のヒロもいる。5年ぶりに見る社会人となった彼らの顔は皆、精悍さを増していた。
シュンタの先導でメンバーが黙々とアップを始めた。サッカーチームらしくなった。この日、新しいメンバーたちと融合したフリッパーズが、どんな試合を見せてくれるのか、初年度のシーズンとはひと味違う期待が膨らんだ。
対戦チームは昨年県リーグ1部で優勝したチームのセカンドチーム。結果を見るとフリッパーズは昨年も同じカテゴリーで戦い、負けている。簡単には勝たせてくれないだろう。どのチームにも言えることだが、社会人として県リーグに参戦して、サッカーを続けていくということは、それなりのハードルもある。平日に練習が組めるか否か、また練習場の確保。そもそも仕事との絡みでの練習への参加の可否、家庭を持つ者であれば、家族との関係。子供の頃とは違い、ただ好きなだけではサッカーはやれない。このフィールドに集う選手たちは、そこを乗り越えてきた選手たちばかりだ。金のためでも名誉のためでもない。もっと純粋な気持ちを持って、サッカーというスポーツと向き合っていると思う。チームのため、支えてくれる人たちのため、そして何よりも自分のため。サッカーの楽しみをとことん追求し、人生をも楽しんでいると思うのだ。
ホイッスルが鳴った。フリッパーズの若き大人たちが躍動している。幸運にも僕はフリッパーズの7年目のシーズンに立ち会うことができた。時を経て、新メンバーが加わっても、フリッパーズはスポーツの理想を追求するチームのまま確実に成長している。
激しいボールの奪い合い、ぶつかり合う肉体、時にはミスもするが、フリッパーズ持ち前のパス交換は進化していた。チームをずっと支えてきたメンバーたちも輝いている。ハズムがドリブルでテンポよく駆け抜ける。ユウとユウヤが積極的に両サイドを切り裂き、ショウマがファインセーブと的確なコーチングでチームを盛り上げる。ミツ、シュンタ、ヒロたちも、一丸となって仲間たちを見つめている。勝ち負けは、後回しで良い。たったひとつのボールを追いかけ、ゴールを目指して、ひた走る若者がいるだけで、もう、それだけで十分だ。
コメント
私も乗っけますね。
「楽しんで」歌う、「楽しんで」練習する、
「楽しんで」発表会に出演する。
19日が、所属する団の5周年記念演奏会です。
頑張ります❗
長文にお付き合い頂き、ありがとうございます。
書こうとする対象に引っ張られることが時々あります。
文章は良し悪しはともかく、導いてくれるような感覚です。
「楽しんで」を乗っけるいいですよね。
naochanがそのスタイルで取り組んでいること、
素晴らしいと感じています。
大いに楽しんで、演奏会を成功させて下さいね。
こんな文章がお書きになれるなんて素晴らしいです!!
若者の必死に躍動する姿は清々しいですね。
楽しんでサッカーをする!これ大事ですね!!
拙い文章にお付き合い頂き、ありがとうございます。
サッカー通のまるこさんからすると、
突っ込みたくなるところもあったかもしれませんが(笑)
楽しみを求めて、それでも真剣にサッカーに打ち込んでいる姿は、
まるこさんがおっしゃるように清々しい!
まるこさんもアルディージャの応援、楽しんでくださいね。
”ひょんなこと” 引かれました。
日常に、滅多に、ない”ひょんなこと”。
未来、感じますね。
お元気でしたか。こちらこそご無沙汰しております。
お子さんも成長されたことでしょうね。
ひょんなこと、そう言われてみると案外プラス方向の言葉のような気もします。
このブログでの出会いも「ひょんなこと」かもしれません。
これからも宜しくです。