それぞれのイブ

2010年12月25日 日常
屋台の焼き鳥屋はいつものように、
椅子に腰掛けて通りを眺めている。

コンビニの店員はサンタ帽を被ってレジに立っている。

ラジオからデートスポット近辺の渋滞の情報が流れ、
DJがリスナーから心温まる話を募集していた。

それぞれのクリスマスイブ――

夜の仕事が入り、クルマを走らせていた。
何度も走っている道もイブは景色が違っていた。

差し向かう

2010年12月20日 日常
外出の多い1週間だった。

水曜は勤めていた頃からの付き合いのS君と
静かにちびりちびりと語り合いながら飲んだ。
仕事のこと、スポーツのこと、将来のこと。

仕事で一緒だったのはほんの数ヶ月、
その後の付き合いの方がずっと長い。

金曜は親友ののりまきとぐだぐだと喋り、
いつものマスターの店へ繰り出し、
久しぶりになるのりまきの来年2月のライブが決まった。

人はどこまで純粋になれるのだろう――
そんなことを思った夜だった。

土曜、仕事を終え、群馬へとクルマを走らせた。
星空の綺麗な深夜、父親はもう寝ていた。

翌朝、朝飯を一緒に食べ、
炬燵でお互いの近況を話し、
仕事の師でもある父親の体をほぐす。

昼は父親の行きつけの食堂に行き、
女将さんの気心にも触れた。

差し向かう付き合いはどこまでも続くのだろうが、
どこまで続いても新しい発見はあるようだ。
この2月に亡くなったんだ――

電話からのSさんの言葉が身に染みた。
80歳のSさんに5歳年上の奥さん。
Sさんはいつも夫婦仲良くうちに来てくれていた。

Sさんはうちに来ると奥さんとの思い出を語り、
お気に入りの写真を見せてくれた。

夫婦円満、おしどり夫婦、
Sさん夫婦はそんな言葉がぴったりだった。

お子さんはいない。
でも、夫婦2人での思い出は山ほどある。

家にはいつもYがいるから――

その言葉にも温もりが溢れている。
最愛の妻はいつもSさんの傍にいる。
月下美人
月下美人
20年以上前からある月下美人。

今年は真夏の夜に二輪一緒に咲いてくれた。

強い香りと大きな花びら。

一風変わった姿だが、
咲いてくれると可愛いものだ。

笑っちゃう暑さ
昼休み――

「ユイの部屋、何度か測ってみるか」

夏休みで今日は家にいる娘と、
あまりの暑さに家庭内気温観測をしてみることにした。

「39度! 」

家庭内最高記録を計測。

興味がエスカレートした僕と娘は、
寒暖計を小さな屋上へと持っていった。

暫くして……

「お~い!! 」

目盛りは古い寒暖計の一番上までいっていた。
50度越え、思わず笑っちゃう暑さだった。
新旧東京めぐり
新旧東京めぐり
浜松町の駅から暫く歩くと増上寺があった。
そこからの東京タワーを初めて眺めた。

蒸し暑い日曜、久しぶりの東京タワーだ。
目的はマイケルジャクソンの展覧会。
大ファンの妻のどうしても行きたいイベントだった。

ステージ衣装やキラキラの手袋、貴重な遺品の数々……
ファンにとってはたまらないものだったに違いない。

「バスでお台場に行かない?」

妻からの提案で駅からお台場までバスで行くことにした。
200円の東京見物、安い観光。
お金をかけない休日の過ごし方は色々ある。
バスはレインボーブリッジを通り抜けお台場に着いた。

フジテレビの展望室に行き、窓から都会の街を眺める。

僕らにはまだまだ行っていないところがある。
過去と現実の狭間で
次男のサッカーの試合を見に行き、
その足で横須賀にある三笠公園に寄った。

ロシア軍と戦った軍艦三笠――
その巨大さに驚きながらも、
船内に妻と入り、二人で戦争の悲惨さを改めて知る。

公園のすぐ向こうには米軍の基地が見えた。

過去と現実――

僕ら大人はやはり声を上げ続けなければいけない。
家の裏の隅にネコが巣を作っていた。
「ミャア」と鳴く声に妻と娘がこっそりと覗く。

そこには確かに生まれたばかりの子猫が一匹、親の帰りを待っていた。
「かわいい」を連発し、すっかり飼う気になっている二人。

「勘弁してくれよ」と言いながら、
万が一の時の覚悟を決めて、仕事の合間に覗いてみた。

僕の気配を感じるとか細い声で「ミャア」と鳴く。

夕方、まず娘が帰って来て、子猫のことを聞いてきた。
続いて仕事から帰って来た妻も同じように聞く。

同じ説明を二人にした。

昼、親猫の声が聞こえた。
子猫がそれに何度も応えていた。
暫くしてから、こっそりと巣を覗いた。
そこに子猫はいなかった。
クライミングの練習日の娘を迎えに行った。
クルマで40分程度の夜のドライブ。

あっと間に4月も半ばが過ぎた。
子供たちの進学、進級、長男の旅立ち。
落ち着く間もなくもうゴールデンウィークが近づいている。

ラジオのスイッチを入れ、贔屓のベイスターズ戦を聞く。
目的地に着くとほぼ同時にゲームセット。
ジャイアンツ相手に1点差ゲームを落としてしまうが、
今年のベイスターズは最後まで諦めない姿勢がいい。

日常の慌しさの中にも、小さな幸せは転がっている。

練習を終えた娘がジムから出てきた。
小走りにクルマに近づき、
「遅くなってゴメン」と笑う。
ぶらりと横浜
日曜は予定がない時はあてもなく外に出ることがある。

クルマは使わずにできるだけ歩くようにしている。
目的のない散策も案外楽しいものだ。

「じゃ、元町に行かない」

妻からの提案だった。
まずは歩いて最寄の駅に行き、JR石川町まで電車で行く。
元町で妻が財布を買い(これが最大の目的だったらしい)、
散り際の桜を眺めながら、丘の上の公園へと歩みを進める。

初夏のような陽気。
家族連れやアベックも多く、穏やかな雰囲気だ。
ベンチに腰掛け、弁当を広げる。

子供が大きくなって夫婦だけで出かける機会が増えた。
少し淋しい反面、これからの人生では、
こうした夫婦の時間も大切なひと時なのかもしれない。

マリンタワーを眺めながら、山下公園へと下り、
定番の散策コースでみなとみらいへと向う。

ああだ、こうだ話しながら、
コーヒーを飲み、本屋に立ち寄る。

「ベイスターズ、どうしたかな?」

妻が携帯をいじくって、経過を調べた。

「勝ってるよ」

贔屓のチームのささやかな勝利に、
疲れた足が少しほぐれたような気がした。
忘年会帰りの妻を駅まで迎えに行きました。

師走、赤い頬の楽しそうな人たち。
クルマの窓から見える年末の風物詩。

買い物の荷物を片手に妻が乗ってきました。
爽やかな柑橘系の香り。

「なんかサワーでも飲んだか?」
「ガムだよ(笑)」

あっという間に家に着き、
クルマを降りて夜空を見上げました。

「今日は星、多いな」
「ほんとだね」
「それにしても冷えるな」
「ほんと、冷えるね」

なんでもない夜のなんでもないひと時。
それでも、大切にしたいひと時です。

となりのドラマ

2009年12月10日 日常
仕事柄、人の話を聞くことが多い方かもしれません。
先日もある女性の半生を聞きました。

その人だけのたったひとつの人生――。

婚約、別れ、結婚、子育て、裏切り、そして喜び。

その女性は喜怒哀楽の諸々を、
面白おかしく語ってくれました。

人生というドラマでは誰しもが主役です。
そこには脚本もなければ、演出もない。
もしかしたらテレビドラマ以上に、
アドリブが必要なのかもしれません。

「ドラマみたいですね」

そういうと、その女性は「ははっ」と小さく笑いました。
仕事を終えて、
何となくビールが飲みたい気分になった。
冷蔵庫からビールを出し、
プシュッとプルタブを開ける。

今日が終わり、
また明日が始まる。
ゲームからなのか、それともいわゆるブームからなのか、
何故か今年の大河ドラマは家族で見ることが多いです。

「ケンは誰が好き?」
「石田三成だな」(次男)
「ユイは?」
「…………」

伊達政宗ファンだったユイはある小説を読んでから、
伊達政宗の評価が下がってしまったようです。

「俺はやっぱり愛だな」

食卓にさむ~い空気が流れてしまいました(笑)。
一緒に行くぞと誘った娘は結局起きずに夫婦で投票に。
歩いて30秒の場所にある母校。
昔のままの古い校舎に入り、
淡々とと小選挙区、比例代表、横浜市長選と投票する。

小選挙区では野党第一党に、
比例代表では軸のぶれない少数野党に一票。
十人十色、人それぞれに考え方はあっていい。
ただ、今回は庶民の力で国を動かせることを実感する。

そのまま妻と東京の湾岸に足を伸ばし、
次男のサッカーの試合を見に行く。
「ケン、うまくなったでしょ」と嬉しそうな妻。
試合会場の学校も投票所になっていた。
ひっきりなしに来る人の波、
まだ日本も捨てたものではないようだ。

有楽町に足を伸ばし遅い昼食をした後、
電車の中で妻とサッカーや選挙の話をしながら帰る。
飛ぶまでの時
「おい、おい」

裏口から買い物帰りの妻を呼びました。
透き通った羽と抜け殻にしっかりと掴まる足。
良く見るともぞもぞと足を動かしています。

隣の家の柵で一匹の蝉が、
飛び立つまでの大切な時間を過ごしていました。
娘と長男、母親も呼び出して蝉観賞。

そして夜、刻々と茶色の羽に変わる蝉。
明日の朝には、もうその場にはいないのかもしれません。


墓参りを兼ねて、
千葉に住む伯父が久しぶりやって来た。
地元の方言を丸出しで、
僕の家族の最近を聞いてきた。

昼時、母がビールを勧めると、
「じゃ、貰おうかな」と一杯だけ美味そうに飲む。

80歳――
偉そうなところは一切なく、
誰に媚びることもない。

伯父はそんな風に生きてきた。

伯父の家族の話になると、
嬉しそうな、それでいて少し淋しそうな眼差しになった。
人の集まる場所より
仕事を終え、用事があって、
川崎駅の近くのショッピングモールに行く。

OL、サラリーマン、学生、主婦……
金曜の夜のせいもあってか、人が溢れていた。
広場では若いデュオのライブが控え、
ファンと思しき女の子たちが、
ステージを囲んでいる。

本屋に立ち寄り、平積みにされた本をつらつらと眺め、
アフリカの貧困をテーマにした本に目が向く。

ある野球人が書いた新しい著書があった。
数年前にお会いして、講演会もして戴いた方。
タイトルは「車椅子の不死鳥」。

待ち合わせの妻と買い物をし、
人の集まる場所から離れた。
クライミング帰りの娘のユイとの待ち合わせ――

ショッピングモールのベンチに座り、
背中からちょっと嫌なオーラを出しているユイ。

「遅いじゃん!」
「これでも仕事が終わってすぐ来たんだぜ」
「遅いよ~」
疲れているのか、おなかが空いているのか。

「おなか空いた~」
予想通り、育ち盛りはいつでもどごても腹減りです。
近くの店でドラ焼きを買い、駐車場へと向いました。

後部座席にドンと座り、早速ドラ焼きをパクつくユイ。
その後はいきなり饒舌、絶好調。

やっぱり、腹が減っては戦はできませんね(笑)。
夜桜を見上げる
仕事を終えた昨晩、走りに行こうと思ったものの、
今日は無理をするのを止めようと弱気になる。

じゃ、夜桜でも見に行くか――

地元では桜の名所でもある近くの公園、
五分咲きというところだろうが、
夜の宴に興じるグループも数組いる。

手をつなぐカップルや、犬の散歩を兼ねた親子連れ。
やっぱり桜は人を惹きつける力があるようだ。

夜風がちょっと冷たい。
遠くの枝垂桜が眩しい。

見上げれば電灯にかかる桜の花。
優しい色が、少し疲れた体に沁みた。

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